私的なことであるが、ようやくGoldsteinのClassical Mechanicsの訳稿の最後まで残っていた11章が完成して、出版社に送った。あとは校正を見て本がきちんと出来上がるのを見守るだけである。
とはいっても校正を見るというのも一苦労だが、それでも訳を仕上げているときほどの苦労はないと思う。昨日一人で缶ビールを一本開けて自分ひとりのお祝いをした。妻が「よく生き延びたね」といったが、それは大げさとしても高血圧になっても、病院へ行くこともはばかられた。もっとも今高血圧かどうかはわからないが。
上巻は2006年6月に発行されているから、それから考えても2年近くが経ってしまった。旧国立大学が法人化されてから、どの教員も忙しくなってしまった。そのあおりを受けて訳業が遅れた。
いくつかの大学で旧版は教科書として採用されていたが、下巻が出ないために教科書として採用されなくなった。そのためかどうかは知らないが、印税をまったくもらっていない。いままでのところは単に労働奉仕をしただけとなっている。この訳に使った時間というのは膨大なものでいわゆる労働対報酬で考えるとまったく引き合わないだろう。これは一つの奉仕というか社会に対するサービスだと思わないと腹が立つだろう。
それは私自身については我慢するとしても、しかし共訳者の人に我慢してくれとはいえない。これからはそういうせめぎあいが出版社との間であるかもしれない。