2008年度のノーベル物理学賞に南部、小林、益川の三博士の受賞が報道された。昨日は夜テニスに行っていたので、私の友人の物理学者から電話を妻が受けたということでこの事実を知った。
南部さんはノーベル賞に値するといわれながら、QCDの受賞者が出たときにもう南部さんは受賞できないかと私も思ったが、ちゃんと受賞できたことはとても喜ばしい。「対称性の自発的破れ」というのが彼の受賞理由だが、これはなかなかわかりにくい概念であった。だが、これが現在の素粒子理論の基礎をなしている。このブログでも内容は触れていないが、1回か2回取り上げている。
小林、益川両氏は「CP対称性の破れ」が受賞理由だが、一般には4つのクォークからクォークを6個に増やした研究者として知られており、彼らのミキシング角はCKM角として知られている。素粒子のテキストではCKM角とかCKM行列というのはもう標準的で固有名詞だという意識もないくらいである。
私は益川さんとは若い頃からの知り合いであって、彼は気配りの細かで、かつものごとに臆しない感じの人である。小林さんは歳が少し違うのでそれほど親しくはなかった。しかし、二人がノーベル賞を貰うのは時間の問題だと思われてはいたが、それにしてもかなり時間がかかった。これは南部さんにはもっとそうであろう。
テレビで見たら、益川さんはやはり昔の性質そのままで飾らないところがいいと思った。彼はあまり英語が得意でないことは有名で、今回も選考員会から電話も日本語で通訳があったとのことである。でも英語が得意でなかろうが、どうであろうが、受賞できたことはおめでたい。