土曜日に久しぶりに元のH大学跡を訪れた。いまその大部分は東千田公園という広島市の公園になっている。
この公園はかなり広くて日曜に松山へと高速船で帰るときに港の建物の2階にあった航空写真を見たら、平和公園とほぼ匹敵する大きさがあることがわかった。
私の学んだ、大学の建物はほとんどなくなっていたが、理学部の旧館だけは多くの方の保存運動のお陰で消滅をまぬかれていた。
しかし、今はまったく使われていないので廃墟である。昭和のはじめの建物で濃い茶色のタイル張りでもあり、原爆を受けた建物が今では市中にはほとんど残っていないので、本当に記念すべき建物である。
ここで学んだ50年程前が思い出されてとても感慨深かった。いまも国立大学法人の所有物ではあるが、今にもどこかに身売りをしそうな気配である。
先輩のSさんによると博物館として使ったらどうかというアイディアがあるそうだが、原爆で痛んだ建物を補強して補修し、使うにはかなりの額の費用ががかかるだろうと思われ、国も広島市もそんな財政的な余裕はないのかもしれない。
だが、なんとか立派に再生されて使われている姿を見たいものだと思った。
公園にはかつて森戸道路と通称された広い道路が残っており、ここのメタセコイアの並木はなお健在であり、大学正門のところのフェニックスも背が高くなってはいたが、まだ健在であった。
公園に接したカフェーで昼食をとりながら、私たちの出入りした旧理学部の建物を眺めたが、単に感傷的な気持ちだけではなく、なんとなく落ち着きのあるこの建物の存続を願わずにはいられなかった。