四元数と空間回転についてのエッセイを書いて、これを数学・物理通信2巻2号として編集しているところだが、今朝インターネットで検索をしていると「四元数での空間回転の公式」の意味を解説したサイトに行き当たった。
これは空間回転を2度の鏡映変換で表すところか来ているとの説明があり、このことをそのサイトの著者は河野俊丈さんの「組みひもの数理」(遊星社、1993)から得たとあった。
虚部だけの二つの四元数NとPがあり、Nを単位四元数とするとNPNは四元数での演算はちょうど鏡映変換をしたことになるという。確かに、式を計算してみるとその通りだが、それをどのようして気がついたのだろうかという、疑問が残る。
それはおいておくとすれば、もう一度違った単位四元数UではさんでP"=UP'Uと変換する。前のP'=NPNと変換を2度すれば、P"=(UN)P(NU)となり、UNとNUは共役であるから、NU=\bar(UN)と表される。
いまQ=UNとおけば、P"=QP\bar{Q}でこれが四元数での空間回転の公式となっていると説明されている。
そして、UとNとの間の角を\theta /2とすれば、UとNとが虚部だけの単位四元数であることを考慮して、これらをベクトルで表せば、積UNの実部はベクトルuとベクトルnとのスカラー積であり、虚部はベクトル積になっている。それで、UN=\cos \theta /2 +a \sin \theta /2と表せるという。ここでaは空間回転の軸を表す単位ベクトルである。
私はKuipersの別の説明によって空間回転の四元数での公式の説明をしたのだが、ここにした説明の方がエレガントであろう。ただ、どうやって、この鏡映変換とこのP'=NPN変換が同じものとなることに気づいたのかはこのサイトでの説明でもされていない。
どこかで鏡映変換のことを見かけたが、その意味するところがわからなかったことを思い出して、あわてて、Altmanの本を調べたところBiedenharnたちの本Angular Momentum in Quantum Physicsにこのことが載っているとの引用があり、簡単な問題が出されていた。しかし、詳しいことはこのAltmanの本には出ていない。