'eph'em\'ere(エフィメール)はフランス語で昨夜の「テレビでフランス語」で好きな言葉をインタビューしていた中に若い女性の好きな語にあった。
「はかない」と字幕がついていたが、私にはこれは英語のephemeralに当たる語だなと見当がついた。
私の知っていたephemeralの訳としては「短命の」という意味だったが、いま辞書を引いてみると「はかない」という意味もついていた。
このephemereはフランス語なので、アクサンがついているのだが、なかなかここでは再現が難しい。それで冒頭でだけアクサンを入れてみたが、後は失礼をする。そして eの前の \' はアクサン・グラーブのつもりであり、eの前の ' はアクサン・テギュのつもりである。
どういう前後関係で英語のephemeralを知ったかといういきさつは前にも書いたが、物理学者のF.J. Dysonが彼の論文選集で数学の論文は未来永劫に真だが、物理学の論文はephemeral(短命)だと書いてあった。
そのときにもちろんephemeralなんて言葉は知らなかったから、辞書を引いて意味を知ったのであった。
美人薄命だとか天才薄命とかともいうが、はかなさは人間の感覚としては繊細なものであろう。そういう語を好きだというフランス人女性はなかなかの繊細さであると思う。
私はclarte(明晰な)という語が好きである。この語もclariteとばかり思っていたが、いま辞書を引いてみるとclarteとiは入っていなかった。simplicit'e(サンプリシテ、単純さ)も好きな語である。
「テレビでフランス語」では好きな語を一語だけみんなに言わしていたが、imaginationが好きな方だとかespritが好きな女性がいたが、ギタリストの村治香織さんはlumiere(光)を好きな語としてあげておられた。
lumiere(光)といえば、物理学者ならばド・ブロイの「物質と光」という今では岩波文庫に納められている、書を思い出すであろうし、またson et lumiereという行事を思い出すフランス通も居られるかもしれない。
son et lumiereを実際に体験したことはないが、ロワール河畔の古城かどこかで夏の夜に照明で古城をライトアップして、かつ音楽を奏でるという催しである。いまでもフランスではどこかの名所で毎夏の夕べにこういった行事があるとか聞くが、フランスは遠く、経済的にも行くことなどなかなかかなわない。