物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

draft

2012-06-19 14:30:44 | 外国語

draftという英語はいろいろな意味をもっている。「四元数と回転」というエッセイを書いていたので、その草稿に8th draftのように書いていた。

ところが、いま気がついたところではdraftという語でいろいろな意味で日本語でも使っている。一番よく知られているのは野球の選手の選抜のためのドラフトであろう。

また私は大学工学部に勤めていたので、実験室にドラフトと呼ばれる一角があり、そこには有毒ガスとかが発生するようなものを置くのを知っていた。

日本で生ビールをドラフトビールと言ったりもする。はじめに書いたように、もちろん、論文やエッセイの草稿もdraftである。

このごろは工学部でも製図を描く学生があまりいないかもしれないが、製図台のことも日本語ではドラフターと言ったはずだ。

ということで、英和辞書を調べてみた。

1.線で描くこと、線描、設計図

2.草稿

3.通風

4.(積荷などを)引くこと

5.(糧食や軍勢の)調達

6.選抜隊

等の意味がある。draft beerには生のビールという意味もある。なかなか意味の多い言葉である。


放射線実測図

2012-06-19 11:03:55 | 国際・政治

昨日の朝日新聞に「アメリカエネルギー省が福島第一原発の事故後に米軍機で空から放射線の測定をして、その詳細な汚染図を提供されていたのに、これが住民の避難に利用されなかったことがわかった」と報じられた。

文科省の担当者は「提供されたデータを住民避難にいかすという発想がなかった」と述べている。これでは何のための官僚かわからなくなる。

日本では政治家3流、官僚1流などといわれていたというが、こういう有様では官僚も3流ではないか。情報が英語で提供されたために意味がわからなかったなどという言い訳はまさかしないだろうが、それにしても原発事故をまったく想定したことがなかったようである。

担当の部署ならば自分で放射線の汚染状況を測定するか、そうでなくてもそれに関係したデータが重要であるという判断もできなかったというのだろうか。多分、内部ではこれを何とかしなければという人が一人ぐらいいて当然である。だが、上司にそれを無視されて嘆いている人がいるかもしれない。

それにしてもSPEEDIという影響予測システムの公表遅れののみならず、かさねがさねのミスであり、これは単にミスというよりは官庁の体質を表していると考えた方がいいのだろうが、これでは官庁などいらないのではないかとまで言われても返す言葉があるまい。

多分文科省の放射線の担当箇所では人員があまりいないとかしたとしても、一人でも担当者がいれば、何が緊急であり、何が重要かの判断もできないとすれば、免職ものである。だから、若い担当者がこれを何とかしたいといったとしたときにそれを上司がうまく判断できなかったのではないか。

この判断でも文科省には大分甘い評価であろうから、もしそういう人が一人もいなかったのなら、これは文科省など廃止してしまえと言いたくもなる。

このデータは経産省の原子力安全・保安院にも提供されていたという。こちらもデータを公表もせず、首相官邸にも原子力安全委員会にも伝えなかったという。

二つの担当部署にアメリカエネルギー省からデータが伝達されていたとすれば、どちらかが少なくとも政府に伝達をすべきであったろう。他の部署が伝達するであろうから、自分のところは放っておいてもよいとは、考えるべきではない。情報は重複してもいいから、念のためですがと言って、関係部署に伝達すべきものである。

そういう安全策をも考えられないようでは、難しい試験をパスして採用された、国家公務員とはなんだったのか。