昨日、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」にピエール滝さんがゲストで、鶴瓶さんと滝さんとはロケットで有名な鹿児島県肝付町内之浦を訪れた。
滝さんが小学校で出会った元気のいい小学生、宮田君のお父さんがJAXAに勤めているということで、宮田君に勧められてロケットの発射基地を訪れる。
そこでJAXAを訪ねて、宮田君のお父さんの宮田さんに会うのだが、その宮田さんの言った言葉が私が学生のころに聞いていた言葉と重なった。
宮田さんはいう。ロケットの打ち上げ準備をしていて、昨日はすべての装置が調子よくて別に問題がなかったとしても今日急にどこかが調子が悪くなることがあるという。ロケット打ち上げのような大プロジェクトならまさにそうであろう。
私が学生実験のため磁気共鳴の研究室で3か月ほど過ごしていたころ、そのときの指導教官であった、Hさんからいつも言われたことである。そのときに磁気共鳴吸収ではなくて磁場を使わない四重極共鳴吸収の学生実験をやっていた。
Hさんはそのころ新婚早々であったが、ときどきは私たちの実験につきあってくれて、実験の吸収される電磁波の周波数を変えるダイアルを根気よく調節してくれた。このとき、なにげなく「実験の装置はやさしく愛するように接しなければならない」「なでたり,擦ったりしてご機嫌をとってやらないといい実験結果はえられない」と言われた。
そのときの表現をうまくここで再現できないのだが、ともかく理屈の上ではこれでうまく四重極共鳴吸収が起こる電磁波の周波数だと思ってその辺でダイアルのつまみを回しても、その予想された必ず共鳴吸収を示す反応が出るとは限らない。
そのとき、シンクロスコープを観測して、吸収のパターンが出るかどうかを見ながら、電磁波の周波数を変えていたと思う。だが、予想した周波数の近辺でつまみを微妙に変化させて調節をするのだが、共鳴吸収のパターンが現れない。
それで何回も何回も同じようなプロセスを繰り返すのである。今日もうまく吸収のパターンが出なかったと思って帰宅することが1週間くらい続いた。それがあるとき、急に見事な吸収のパターンを観測することができた。それでシンクロの画面を写真にとってその学生実験は終了となった。
いまでもどこか机の隅かどこかにその写真が残っているのではないかと思う。そのときの実験の大部分の作業は共同実験者であった、U君の努力による。
その後、U君は今のパナソニックに勤めた。いつか同窓会で彼に会ったら、あのときの実験での経験を話し合いたいと思っている。