アルゴリズムは「問題を解決するための手順」だという。
私などオールドスタイルの者はプログラムを組むときのその元となるロジックを思い出してしまう。
またまた昨夜のETVのTEDの放送だが、"How Algorithm shapes our World"というタイトルのプレゼンであった。Kevin Slaivinという伊藤穣一さんのMITラボの同僚の数学者の講演であった。
彼の話の趣旨はあまりよくわからなかった。ただ、後で彼に個人的に短いインタビューがあって、彼は最近では「Algorithmはいままでの物理的な世界ではない、別のもう一つの物理的世界を形づくっている」と語っていた。
映画をつくる前にある種のアルゴリズムでもって、成功間違いなしの映画をつくるとか、金融市場はいまやアルゴリズムに支配されており、人間は金融市場で何が起こったかわからないという。
数マイクロ秒の時間差での金融市場での勝敗が決まるためにシカゴからニューヨークまで高速の光ケーブルが敷かれた。そのために山にトンネルが掘られては光ケーブルが互いの金融市場に通じるようになったという。
光ケーブルのためのトンネルの掘削のための投資額たるやすさまじいものらしい。もはやアルゴリズムの勝負はつかなくて数マイクロ秒の時間差の勝負だという。
それはそれで仕方がないのだが、物理的時間差での勝負は私にとってはなんだかむなしいものに思われた。単なるマネーゲームではないか。
ニューヨークの金融市場では2千人とも3千人とも言われる物理学者がアルゴリズムの開発のために働いており、いままで私たちが学んできたのとはアルゴリズムに支配された、まったく異なった新しい物理世界が実現しつつあると聞くと、それを喜ぶべきなのか、憂うべきなのか。
Slaivinは冷静に「その現実をまず知れ」というのであろう。このアルゴリズムはある種の文化となってさえもいるという。