物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

アルゴリズム

2013-11-19 13:09:39 | 物理学

アルゴリズムは「問題を解決するための手順」だという。

私などオールドスタイルの者はプログラムを組むときのその元となるロジックを思い出してしまう。

またまた昨夜のETVのTEDの放送だが、"How Algorithm shapes our World"というタイトルのプレゼンであった。Kevin Slaivinという伊藤穣一さんのMITラボの同僚の数学者の講演であった。

彼の話の趣旨はあまりよくわからなかった。ただ、後で彼に個人的に短いインタビューがあって、彼は最近では「Algorithmはいままでの物理的な世界ではない、別のもう一つの物理的世界を形づくっている」と語っていた。

映画をつくる前にある種のアルゴリズムでもって、成功間違いなしの映画をつくるとか、金融市場はいまやアルゴリズムに支配されており、人間は金融市場で何が起こったかわからないという。

数マイクロ秒の時間差での金融市場での勝敗が決まるためにシカゴからニューヨークまで高速の光ケーブルが敷かれた。そのために山にトンネルが掘られては光ケーブルが互いの金融市場に通じるようになったという。

光ケーブルのためのトンネルの掘削のための投資額たるやすさまじいものらしい。もはやアルゴリズムの勝負はつかなくて数マイクロ秒の時間差の勝負だという。

それはそれで仕方がないのだが、物理的時間差での勝負は私にとってはなんだかむなしいものに思われた。単なるマネーゲームではないか。

ニューヨークの金融市場では2千人とも3千人とも言われる物理学者がアルゴリズムの開発のために働いており、いままで私たちが学んできたのとはアルゴリズムに支配された、まったく異なった新しい物理世界が実現しつつあると聞くと、それを喜ぶべきなのか、憂うべきなのか。

Slaivinは冷静に「その現実をまず知れ」というのであろう。このアルゴリズムはある種の文化となってさえもいるという。


リーダーシップ白熱教室

2013-11-19 12:02:43 | テレビ番組

NHKのETVのハーバードの「リーダーシップ白熱教室」の第三回を見たら、リーダーシップとはある種の問題解決講座だという風に感じられた。もともとリーダーシップという語にはちょっと反感を感じていたのだが。

政治の問題として、現在のシリア問題が学生から質問があったが、Heifetz先生はどいういう観点からその困難な問題を取り上げるかによって、対策もいろいろ異なるという。

政治家は国民に難問を出して国民の奮起と努力をするように要請をすると途端に不人気となるので、そういう風な呼びかけをすることを嫌う傾向があるという。

もちろん、政府の責任でないこともあれば、それは政府の責任の場合もあるだろう。実際にアメリカのホワイトハウスであった、論争をそれがなんであったかはさすがに明らかにはしなかったが、実際に例としてとりあげていた。

これはひょっとしたら、先生自身が経験したことであったろう。なかなか現状をきちんと見てその実情の原因がどこにあるのかを直視すれば、国民に単に甘いことを言うことはできないのだろうが、そういうことをいう大統領はリーダーシップがないと一般には思われる。

そういうリスクを冒してまで事実を誠実に国民に告げるのはやはり政治家としては憚られるというのはある意味では仕方がないが、それが難問の課題解決の先送りになっていなければよいが。

失礼ながら、このHeifetz先生はキャリアを医者として始めたと言われていた。そして病気は2つの種類があり、1つは医学的に完全に治癒ができるものともう1つは完全には治癒をさせることができなくてその後はその患者の生活の適応が必要になるものがあるという。

その後者の種類の病気が結構多いという。そのときに医学は無力とはいえないにしても患者の生活にまで踏み込むことは容易ではない。それはその人のプライベートな問題だからである。

「医家の不養生」という言い方がある。これは医学だけでものごとが決まるわけではなくて、どういう生き方をするかは個人の問題だからであろう。