日本では出版界は不況と言いながらもたくさんの本が出版されている。そしてそれらのあるものは多くの新聞とかにその書評が載ることになる。ところがこれは出版社の編集者の方が言っていることだが、理系の本はほとんど新聞の書評の対象にならない。
だから、ベストセラーとして売れることもない。吉田 武さんの『オイラーの贈物』(海鳴社、東海大学出版会、ちくま学芸文庫)は総計として3万部が売れたというが、これなど特例中の特例であろう。
大体において初版の数千部が売れたら、大いに売れたと威張ってもいいかもしれない。それぐらい理系の書は売れないのである。もちろん新聞の書評に載ることもない。だが、それだからあまり意味がないのかと言うとそうでもないのである。
と私も思っているのだが、それにしても小著『四元数の発見』は数学関係の雑誌にも書評としてとりあげられないというていたらくである。もっともマイナーな分野であることは百も承知なので、別に採り上げてもらえないとしてもそれほどがっかりすることではないのだろう。