物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

四元数の流行を下火にした人

2018-04-10 14:05:23 | 数学

最近の四元数のブームではかつて四元数の流行を下火にした人がいたなんて、驚きだろうが、いたのである。これはギッブスというアメリカ人の物理学者とヘヴィーサイドというイギリスの電気工学者であったという。

要するに実部(またはスカラー部ともいう)のない四元数の積で出てくる、その四元数の実部と虚部が実は現在ベクトルのスカラー積とベクトル積というモノであり、実は有用なのは四元数そのものではなく、ベクトルの現在スカラー積と言われているものとベクトル積と言われているものとが有用なのだとの深い考察を行って、ベクトルを導入したのがギッブスとへヴィーサイドだと言われている。

そうすると、ハミルトンは四元数を発見した、創造性に富んだすごい人だったが、それを展開して、ベクトルを導入し、かつそのスカラー積とベクトル積とが有用なのだという洞察をすることができた、ギッブスとへヴィーサイドとの役割も大切なのだとわかる。

もちろん、ハミルトンが四元数を発見しなかったら、その後のいわゆるベクトルとその理論は生まれなかったのだが、ギッブスとヘヴィーサイドとはハミルトンとはちがった役割をもっているのだということがわかる。

ギッブスは熱力学でも熱力学ポテンシャルといわれるいくつかの関数を導入して、熱力学の様相を大きく変えたという。ヨーロッパの学者からなかなか認めてもらえなかったが、いまでは優れた物理学者であることが知られている。

(2018.4.28付記)ボイヤーの『数学の歴史』を読んでいると、ギッブスの先駆者としてグラースマンがいるそうだが、グラースマンの数学を学んだことがない。いつだったか藤川和男さんが松山に来られて講義をされたときにグラスマン数のことを話されたことぐらいしか覚えていない。最近では金谷健一さんの『幾何学と代数系』(森北出版)でグラースマンの数学を学ぶことができるだろう。


書類探し

2018-04-10 10:32:47 | 日記

大学に勤務していたころも仕事に必要な書類がどこにあるかわからなくなって一日中探していたということがあった。

退職した後ではそういうことが少なくなったと思っていたが、昨日はほとんど一日を書類探しに費やしたが、求める書類はみつからなかった。

これはHamiltonの四元数に関する論文を探していたのである。今朝このことを妻に言ったら、必要最小限の書類だけで仕事を常にするようにしていないからだと言われた。

だが、私はあまり頭がよくないので、そのために多くの文献を集める傾向にあるし、それはやはり今では一つの私のいい点だと最近は思っていると反論をしておいた。

確かにいつでも最小限の文献で仕事をできるようなら、それはそれでいいとは思うのだが、私は自分ではなにか独自に思いつくような独創的で明敏な頭ではないので、必然的に多くの文献を集めるという結果になるのだと思う。

もっともそのことがいいこともあると思うが、わるいこともある。その利害得失はやはり簡単に言い尽くせるものではない。

前に四元数の本をまとめるときに読んだのはHamiltonの四元数の発見に関するレポートであったが、今回は四元数と剛体とかベクトルの空間回転の記述との関係でHamiltonがどういう論文を書いていたかを知りたいと思っている。これはHamiltonだけではなく、GaussとかEulerだとかRodriguezとかCayleyだとかの四元数とかその他の方法での回転の表現に関係したことにいま関心があるからだ。

(後記)実は今日の午後になってもう一度書棚の中のファイルを調べたら、ハミルトンの四元数関係の論文のコピーが見つかった。昨日もこの書棚のファイルをみたのだが、ここにあるとは思わなかったので、捜索がおざなりになっていた。ということで、財務省の書類がないと思っていたのが出てきたということを笑えない立場となった。もっとも私は書類がないと否定する立場ではなく、あるはずだが見つからないとストレスをためていた。