物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

交換法則、結合法則、分配法則

2018-10-10 12:16:16 | 数学
などという語を知ったのは高校の数学のテクストであった。

そして、その説明が代数式を使ってされていた。それらはそれまでの学校数学の中で当然成り立つものとして暗黙に学んできたものばかりだったので、なぜそのような事実をことさらに、3つの法則とするのかわからなかなった。

その意味が分かってきたのはベクトル代数や行列を学んでからであった。数学の体系の対象とするものの中には実は数とか代数の多項式とかのように足し算と掛け算(注1)とかができるものばかりではなく、それもとくに交換法則が成り立たないものが数学の対象になるということを知ったからである(注2)。

要するにせっかく言葉を知ってもそれがどうして必要になるのかの意味が分からなかった。その状況がいまは教育的に改善されているのかどうかは現在の高校数学の現場を知らないので何とも言えない。

たぶん、そういう疑問を持ったかつての私のような学生がいまや数学の先生として教えられているであろうから、昔の私が抱いたような疑問には授業の中で答えているにちがいない。

少なくとも、そういうことの全部をではなくとも、その片鱗くらいは授業中に言及することができないような先生はご用済みであろう。

ランスロット・ホグベンの『百万人の数学』(日本評論社)の序文だったか本文だったかの中には数学教師に対する厳しい批判が書かれている。要する生徒や学生の要望に応えられない数学教師はいらないというような。もちろん、世の中にはそういう教師ばかりではないことは一縷の望みを感じさせられる。

(注1)加法とか乗法とかいっても、もちろん数とか代数式の加法とか乗法とかは含むが、操作としてはそういう演算はもっと広い意味で使われる。

(注2)四元数では交換法則が成り立たないことはよく知られている。八元数は結合法則も成り立たない一つの例である。

運動神経が必要だ

2018-10-10 11:46:12 | 物理学
などというとスポーツのようだが、何十年も前の学生時代に購入した黒沢達美著『物性論』(裳華房)の序文には、この本を読むにはある種の運動神経みたいなものが必要かもしれないなどと書いてあった。

物性論の本を読むのに、数学の基礎知識とか量子力学の知識ではなくて、ある種の運動神経が必要だと言われて、ほっとしたのを覚えている。それは数学の知識も量子力学の知識もそのころあまり身につけてはいなかったからである。

いや、いまでもこの二つが身についているかと問われるとあやしいものだが、学生の頃はもっと頼りないものであったことは疑うべくもない。

この本以降に読んだ物理の本で、そういう風な序文があったと思うような本は覚えていないところを見るとても独創的な序文であったにちがいない。こんな序文を持つ本を書いてみたいと思っているが、さてさてそういうことができるものだろうか。

ベクトルの回転

2018-10-10 10:36:49 | 数学
ベクトルの回転の式をどのように導いているかが現在の私の関心事である。

すなわち、ベクトルの回転の公式(いわゆるロドリゲスの公式)をどう導いているか。『四元数の発見』(海鳴社)を書いたときには、ゴールドスタインの『古典力学』上(吉岡書店)に記載された方式で述べたのだが、これは一つの欠点があった。

この説明は回転角度の回転の向きが時計方向であり、普通の回転の向きが反時計方向であることと反対である。それで、いまそれを修正した文章を書こうと考えている。もともとの文章でもベクトルの空間回転の説明を書こうとしたときに、Altmanの本とゴールドスタインの本とを参照にして書こうとしたのだが、Altmanの本で1か所理解できないところがあったので、ゴールドスタインの説明によった。

ところが、そのときにはあまり気にならなかった回転の角度の向きが気になり始めたので、もう一度Altmanの本を読んでわからなかったところをよく考えたら、わかった。それでその方式でベクトルの回転の章を書き改めようとしている(付記)。

ところで、そのほかに現在、気にして読んでいる本に今野紀雄さんの『四元数』(森北出版)とか金谷(かなたに)健一さんの『幾何学と代数系』(森北出版)がある。これらも同じテーマもあつかっているので、それらと比べてみる必要を感じている。この二つの記述は見かけはあまり簡単であるようには見えない。

それ以外に3Gグラフィックスの専門書である、『ゲーム3D数学』(オライリー・ジャパン)でも同じテーマを扱っているが、これがまた簡単に導いている。それらを比べてみて、数学エッセイを書こうと思っている。

Altmanの導き方も簡明さではけっしてほかの説明には劣らない。ただ、説明がちょっとあまりに簡潔であったので、それを補ったエッセイを書きたい。

(2019.10.14付記) 昨年の10月にこう書いているのだから、昨年にすでに
ベクトルの回転方向については解決済みであったことがわかった。そのノートを先日見つけてようやく書き直しのエッセイを書こうとしている。