第3話「マトリックス力学の誕生」の四回目を読んだ。最近では続けての2回目だが、すでに一年ほど前に2回ほど読んでいたらしい。これはブログの記録からわかった。
その前に第2話「前期量子論」を読んだ。この箇所には疑問に思ったり、ひっかかるところはなく、読めた。その後に再度、第3話を読んだ。今回はあまりひっかかるところはなかった。しかし、ここは概念的に難しい。読むのに土曜日と昨日の日曜日を費やした。
前にも述べたように数式の計算自身は難しいところはない。もっとも私なら普通に使われている、記号を導入したり、共通因子をくくったりしてもっと数式を簡明に表すのにと思っている。そういう考えを反映した自分なりのまとめ直しはいつかしてみたいと思う。
それでもマトリックス力学のところが概念的に難しいと感じるのはどうも私だけではなさそうなので、高林武彦『量子論の発展史』(ちくま学芸文庫)を取り出してきて、行列力学の章を読もうとしたが、本が文庫で字が小さいので、読めないのと高林さんはあまり詳しくは行列力学の誕生のいきさつをたどっていない。
これはもう詳しい分析は朝永『量子力学』I (みすず書房)に任せたという気持ちだったのかもしれない。もちろん、高林さんも、何かをマトリックス力学についても書いてはあるのだが、そういう印象を受けた。
朝永『量子力学』と関連していえば、土屋秀夫『朝永振一郎著の「量子力学の」研究』(創栄出版)という本があり、これは自費出版の本であり、市販された本ではないが、式の計算は逐一追った本である。
もっとも私が関心をもって調べた、ある箇所ではどうも勘違いをされたのかと思われる箇所もある。いや、しかし、2冊の本を詳しく読んで計算をフォロウされたのだから、少しくらいの間違いがあっても、それはあまり大きな瑕疵ではない。
朝永『量子力学』の研究というか、量子力学の概念を追及したりしたのは『量子力学の冒険』であり、現在では量子力学に関してもっと深いものが書ける一般的な環境にはあるのだろう。