物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

フランス語の俳句1

2019-04-29 12:42:20 | 日記

岩波のPR誌「図書」の5月号にフランス語の俳句の紹介があった。小津夜景さんの「ジャン=マリー=グリオの俳句を読む」の中にである。少し紹介してみよう。

 Au cinema

Les acteurs s'endorment 

Quand ca commnce

役者たち睡るシネマの幕開けに

L'autobus arrive

Un zazou a chapeau monte

Un heurt il y a

Plus tard devant Saint-Lazare

Il est question d'un bouton

あしふみの

 長きバス首

  さわげども

   のちのボタンは

    さん=らざりけり

    (朝比奈弘治訳)

これにはzazou(ジヤズ狂の青年)とかheurt(対立)とか知らない語がある。

訳を読んでも意味がわからない。zで始まるフランス語は全く知らなかったが、初めて知った。それにしてもzで始まるフランス語はとても少ない。 

(バスが到着した。帽子をかぶったジャズ狂の青年が乗った。

後で、ちょっとした騒動がサン=ラザールの前であった。

その原因は一つのボタンのことであった。)

とでもいうことなのだろうか。知る人ぞ知る。

On parle sans savoir

on 'ecoute sans savoir

je mange chewing-gum

知らず言い知らずて聞くやガムを噛む

Une seule abeille

achete les fleurs

pour la ruche

一頭の蜂が花買う長屋かな

rucheは知らなかった。これは「巣箱」の意味らしい。rucheは人間で言えば、長屋にあたるのだろうか。その訳者の発想がおもしろい。

まだ、数句あるが、紹介は明日にしよう。

 「図書」を読む人はインテリだとは思うが、どれほどの人がフランス語を解するのだろうか。でも、それを紹介しようとする私のようなものもいる。