田代嘉宏『テンソル解析』(裳華房)は1981年の発行である。これが発行されたときに発行社から寄贈を受けた。それで E 大学の生協書籍部の出しているパンフレットにこの本の紹介というか書評かを書いた。
しかし、この本をきちんと読んだことはなかった。Levi-Civitaの記号についての記述をいまごろになって、読もうとしている。
ところが、そこを読むためにはその前の箇所を読む必要がある。ということで話はそう簡単ではなくなる。
この書の始めのところに私がこの本を読まなかったことを世間に示してしまうようなことが書いてあった。
実は2005年にE大学を定年退職した折に小著『数学散歩』(国土社)を出したが、この本の終わりの方にベクトル代数とか解析とかテンソルについての記事が載っている。
『数学散歩』はもともと愛媛数学教育協議会 (略称:愛数協)の機関誌『研究と実践』に掲載した文章をまとめた本であった。しかし、田代嘉宏『テンソル解析』を読んでいたらすでに知っていたであろうことを、この書とは別の動機から知って書いた文章が多く掲載されている。
だから見る人が見たら、私がこの『テンソル解析』を読まなかったことは明白であろう。というか、人の本を読んで理解するという力に欠けていることが明白である。
というようなことをいまとなって、はじめて知った次第である。