物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

村上雅人『なるほど量子力学 III』

2020-01-16 14:16:22 | 物理学
スピンとの関係で『なるほど量子力学 III』(海鳴社)の第3章を読んでみた。

昼食前に本を取り出してきて、いまさっき読み終わった。1時間はかかっているだろうが、3時間とはかかっていないだろう。

するすると読めるように書かれている。論理に結構気を使って書いていると感じた。

これは海鳴社社長の辻さんにねだって、以前に村上雅人さんの『なるほど量子力学』全3巻をいただいていたものである。

それでも、どの巻も読む機会がなかったが、今回「Pauliの行列の導出」のエッセイを書いている機会に読んでみた。

他の章を読んではないので何とも言いかねるが、少なくとも第 3 巻の第 3 章はうまく論理の飛躍なく書かれている。

この第3巻は磁性入門という副題がついているので、磁性がどのように生じたかの理論的な説明として役に立つだろう。

他の章も読んでみる機会がくれば、いいのだが。

電子にスピンが必要となったわけ

2020-01-16 11:25:43 | 物理学
スピンが必要となったわけを比較的短く書いたものとして、原島鮮『初等量子力学』(裳華房)を再認識した。

昨日、この本を取り出して読んでみたら、なかなか簡潔によく書けている。それはこの本の最後の方に近い第17章「スピン」である。
この後には第18章「多粒子系」しかないから、最後の方に近い。

実験的事実としては、銀の原子のビームがスピンによって上下に分かれるステルンとゲルラッハの実験とアルカリ原子の光のスペトラムの二重性とが書かれている。

大学に在職中にこの本を何年かテクストにつかって教えていたが、ここまで教えたことがなかった。だから初めて読んだ。

だが、昨日の午後に読み始めて、深夜12時になる前に読み終えていた。だから、全体の時間は10時間もはかかっていないだろう。するすると引っかかることもなく読める。

昨日『物理学と化学のための数学』の量子力学の章の電子のスピンの導入を示す箇所も簡潔でいいと書いたが、『初等量子力学』のほうが詳細に書いてある。

それも物理事実が詳細に書かれている。ただ、注文をつけるとすれば、Pauli行列を導くところはこれはある種の数学だというつもりか、天下りになっていて、その詳細は述べられていない。

だから、私がたぶんこの書をPauli行列を導くためには、参考にならないと判断したのでなかったろうか。

しかし、いまではいくつかのPauli行列の導出法を私はメモしているので、この『初等量子力学』の良さがわかってきたのであろう。

スピンに関しては朝永振一郎『スピンはめぐる』(みすず書房)がある。これは名著であることはまちがいがないが、あまり詳しく読んだことがない。この本をそろそろ本棚から引き出して読んでみようか。