「Pauli行列の導出」について朝永さんの『角運動量とスピン』(みすず書房)にもとづいてエッセイを一つ書いた。もっともそれはまだ完成していないのだが、普通の人ならもう完成と思っていいくらいであろう。ただ、私の基準ではまだ完成とはいかない。
それで、そのギャップを埋めることができる文献がないかといろいろ私のもっている本を探していた。
それを探しているうちに、私が前につくった同じテーマのノートにであった。そのノートは数ページだったので、すぐに読み返せたのだが、その下敷きにした本、マルゲナウとマーフィの『物理と化学のための数学』II(共立全書)の該当箇所を昨日読んだ。
これを前にはきちんと読んでいなかったが、優れた書であり、量子力学にスピンという概念が導入されるきっかけとなった実験的な事実もきちんと書いてある。
それで、ちょっと走り書きの計算をしたりしながらその部分を読んだのだが、「Pauli行列の導出 2」とでもいうべきエッセイが書けそうな感じがしてきた。
私は頭が悪くていくつかの方法で同じことを導いて見ないと了解できない。それでいくつか異なった方法で導くのを常としている。
先ほど、メシアの『量子力学』(これは英語の訳書:(注))をちらっと見たのだが、あまり納得できる書き方ではないような気がした。
(注) メシアの本は日本語訳もあるが、日本語の訳書はもっていない。英訳の書をもっている。英訳と書いたのはこの一番の原書はフランス語だからである。
(2020.11.25付記) この「Pauli行列の導出」というエッセイは「数学・物理通信」9巻10号(2020.2.3)に掲載されている。「数学・物理通信」でインターネット検索すれば、名古屋大学の谷村先生のサイトにあることがわかるので、関心のある人は読んでみてください。