物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

大学と国家

2022-07-28 12:38:46 | 本と雑誌
「大学と国家」などと書くとたいそれたことを書くのではないかと思われようが、そうではない。

しかし、やはりタイトルとしては、「大学と国家」であろう。

先日から書いている、鶴見俊輔さんのことである。先日、『「思想の科学」私史』で知ったのだが、鶴見さんはアナーキストの疑いをかけられて、アメリカの官憲に捕まっていた。

そのうちに日本とアメリカが戦争状態に入り、アメリカにいた日本人には日本に帰るか、それでもアメリカにとどまるかの選択を迫られた。

鶴見さんは必ず日本は戦争に負けるとわかっていたが、敗戦する日本に居りたいという思いがあり、日米交換船で帰国するのだが、その前に在学していたHarvard大学は留置所にいる鶴見さんに卒論を提出するならば、卒業を認定するという裁定を下す。

ここが面白いところで、もし当時の日本ならば、敵国のアメリカ人の卒業を認めたりするだろうか。大学と国家とは独立であるという見解が大学人にあって、卒論を提出するならば、卒業を認めるというところがすごい。

しかし、今回私が知ったのはそれ以上のことである。鶴見さんはまだ2年半しかHarvard大学に在学していなかったらしい。日本ならいまでも在学期間が4年に満たないならば、それは大学の規定を満たさないという風な議論で卒業証書を与えることはたぶんしないであろう。

だが、そういう杓子定規な判定をHarvard大学はしなかった。そこが単に「大学と国家」というタイトルからもはずれるくらいの措置である。

大学の中でも議論はあったろうが、それでも戦争は国家が行っていることであり、学生個人の責任ではないこととか、もしここで卒業を認定しないならば、大学としてその措置を悔やむことになるだろうという判断を、鶴見さんが、実際に指導を受けていた教授たちがした結果だと思われる。

ともかくも彼は大学からBachelor of Sciencesの学位を得て、Harvard大学を卒業した。実は卒業式は彼が日米交換船でアメリカを離れた日であったという。

これは鶴見さんの晩年のことになるが、私は大学の理学部の出身なので、このBachelor of Sciencesの学位について「私と同じですね」と鶴見さんに言ったら、彼ははにかんで「ラテン語が読めないということですよ」と返事されたことを思い出す。

フランス語のクイズ2

2022-07-28 12:14:20 | 本と雑誌
先日書いた「フランス語のクイズ」だが、解を見つけてハガキで出した。

一時は解答など見つけられるものかと思ったが、そうではなくて見つけられた。

ジュリーさんというフランス人のイラストレーターの女性がつくった問題である。挿絵があって、それと文字表とから、挿絵にあったフランス語の綴りを探し出し、その中の指定された文字群からこれもまた挿絵に描かれた状況を示すフランス語の句を探すという作業である。

NHKのR2のラジオのフランス語を聞いたり聞かなかったりだが、45年以上聞いている。その割には知っている語彙が少なくて、さあ2000語も知っているだろうか。

それでも45年前に一家でフランスのパリの見物だとか、ロワール河沿いの古城巡りをしたりした。その当時は免許をもっていなかったので、車の運転は妻がしたが、宿探しは私のつたないフランス語で現地で飛び入りでした。

それくらいのフランス語の素養はその当時からあった。だから、1997年にジュネーブの郊外に宿をとったときも、つたないフランス語でした。

旅行でフランス語で困るという感じはもっていない。だが、フランスで生活をしたことはないので、生活で普通に使うフランス語などは知らないであろう。

もともと初級のフランス語を学ぶ終わらないうちに直に、話すフランス語に触れる機会をもつという稀有な経験をもった。こういう経験は普通はその人に二度もあるような経験ではない。

それで、ラジオのNHKのフランス語講座を聞くのに躊躇はあまりなかった。

(2022.7.29付記)フランス語は私のとって第3外国語であるが、一時フランスに留学しようかと思ってNHKのEテレでフランス語のLe Francais par la joieだったかを見ていた。2年くらい経った頃、ドイツに留学したほうがいいかと思い直してドイツ語の放送を見始めたという、いきさつがある。実際にドイツ留学ができたのは、それから8年後くらいだったろうか。