物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

以前のエッセイの改訂

2023-10-18 10:40:14 | 物理学
以前の数学エッセイを読み直してすこしづつ改訂をしている。すこし程度の高い話題についても書いたこともあるのだが、いまは中学や高校程度の数学に焦点を絞っている。

そうはいっても中学校と高校の数学の話題になかなか限定できないのが実状である。

たとえば、「文字の置換」というテーマのエッセイはある好評なインターネットのサイトの記事を取りあげている。このテーマ自身は実は統計力学に出てくるボルツマン分布の話である(注1)。

文字の置換ということでは実は私が高校時代に学んでいた数学の受験参考書の中にあった分数方程式を解くことができなかったが、ごく最近になってその分数方程式を文字の置換で解いたという経験もあるのだが。これは数学・物理通信にすでに「分数方程式を解く」というタイトルで発表している(注2)。

スーパームーンの話題のエッセイに一つも図が入っていないことに気がついたり、ピタゴラスの定理の証明について今読んでみて生じた私の疑点を埋めたりしている。

こういうエッセイの数は中学校と高校程度に限ると100を越えるほど多くはないが、数十はあるので、なかなか終わらない。

大学程度の数学までレベルをあげると数学エッセイの数は100を超えるであろうが、正確な数は数えてみたことがないので、いくらくらいあるのかわからない。修正したエッセイの数も重複を許して数えれば、その数は200以上となっている。

(注1:2023.11.25付記)ボルツマンの分布はGibbs流の導き方もあると思うが、私になじみのある導き方は『ファインマン物理学』第2巻(岩波書店)のファインマンの説明である。

もっとも友人のNさんから、ファインマンの一番の弱点は統計力学の箇所にあったのではないかという見解を聞いたことがある。

私などから見れば、ファインマンは神様のつぎに偉い人だが、そういう人を批判的に見ることがことのできる人がいるなんて。すごいではありませんか。

(注2)「数学・物理通信」のすべてのバックナンバーはすでに名古屋大学の谷村先生のご尽力で彼のサイトにアップされているので、検索してみてほしい。

まだ発行はしていないが、

2023-10-17 12:15:00 | 数学
まだ発行はしていないが、数学・物理通信13巻号外号の編集で勢力を使ったのでちょっとした虚脱感である。

この状態が回復するには数日かかると思う。いつも起こる現象だが、今回はいつもほどはひどくはない。

それにしても虚脱感が起こるのはしかたがない。最近は言葉を忘れるので日常会話にも支障が起こることが多い。人の名前をなかなか思い出さないのはもうずいぶん以前からだが、先日は普通の名詞がでて来なかった。

そのうちに会話の相手からその使いたかった言葉が出てきてああそうだったと思った。これは本を出版した後で著者のもらう報酬である、印税という言葉だった。

印税をもらうという経験を数回はしたことがあるが、数十万円のオーダーで大したことはない。本を書くという行為とか出版するという行為は文化行為ではあるが、それで私のような立場の者にとっては、おおきく儲けるというような行為は余分のつけたしであろう。

これは小説を書く作家とはちがう。彼らはそれで生活をしているのであるから。もっともベストセラーを出すような作家はそのときだけかもしれないが、巨額の収入を得ることができる。

そこら辺は片手間と言ってはちょっと語弊があるが、私たちのような理系の本を書く者たちとはちがう。

もちろん、先日述べたStrangのような例外はある。Strangの線形代数のテクストは世界中で90万部が売れたという話であった。





「数学・物理通信」13巻号外号

2023-10-16 14:58:23 | 本と雑誌
数学・物理通信」13巻号外号の編集が終わって最終点検に出した。

先週の土曜日にほぼ出来上がっていたのだが、日曜日に読み直した。それでいくつか修正箇所を見つけた。

それと追加する文献を見つけていた。それらを午前中に追加して修正をした。58ページにも及ぶ遠山啓の著作目録である。

今週中には発行をしたいと考えているが、あまり慌てて発行すると思わぬミスをするので、2,3日は手元においておきたいと考えている。

電磁気学を学びたいなら

2023-10-14 12:13:39 | 物理学
最近聞いた話だが、電磁気学を学びたいなら岩波書店から訳書が出版されているファインマンの『ファインマン 物理学 』III, IVを学ぶのがよいとか。

これは京都大学の名誉教授であった Y 先生のご意見だったという。そしてその高弟の私の友人 N さんもこの2冊の本を読んで電磁気学をわかったといわれていた。

私などはそこまで行く前にベクトル解析のストークスの定理とガウスの定理の理解が十分でないと感じてしまい、電磁気学にとりかかれない。

もっとも Y 先生も N さんも訳書で5冊のシリーズになっているファインマンの他の訳書は読む必要がないとのご意見である。これらの5冊の訳書を読むほどには私たちの人生は長くはないとのこと。Genau(その通り)とドイツ語で答えたくなる。ちなみにN さんは化学科の出身で熱力学や統計力学の理解が深い方である。

ファインマンは物理に造詣の深い方であることを認めたうえでの話だが、どちらかといえば、熱統計力学等の面ですこし他の分野と比べて弱いのではないかという意見を N さんから伺ったこともある。

Teacherではなく、Facilitator

2023-10-13 10:15:19 | 外国語
先日、月に1回行っている雑談会で9月にレポートをしてもらった Y さんの話にアメリカではもう先生のことをTeacherではなく、Facilitator(ファシリテーター)と呼んでいるとか聞いた。

そのことに私は注意が向いていなかったが、今朝朝食後に妻がこのことを言っていたので、ようやく気がついた。

最近は子どもたちもテレビやスマホその他メディアで情報を得るので、先生よりも知識の豊富な小学生だってたくさんいる。そしてそれがクラスのメンバー数の20人とかの大きな数となれば、先生はもう大人として子どもたちに知識を教えるというような姿勢をとることができない。

それで、TeacherではなくFacilitaterと呼ばれているらしい。これが本当にそうなのかどうかの真偽のほどは知らない。しかし、ありそうな話ではある。

フランス語を少し学ぶと「難しい」difficile(ディフィシール)とか「やさしい」facile(ファッシル)という語を知るが、そういう語を知っているとFacilitaterは理解がしやすい。「物事を容易にする」とか「やさしくする」というような意味であろうと。

ちなみに言うと、綴りは同じかどうかは知らないが、イタリア語ではdifficile(ディフィチレ)とfacile(ファッチレ)という風に発音する。発音は違うがフランス語からすぐにわかることである。

difficile(ディフィシール)は英語ではdifficult(ディフィカルト)であるから、英語を知っている人はdifficile(ディフィシール)はすぐにわかるであろう。

素数の系列

2023-10-12 13:01:56 | 物理学
「素数の系列」という以前に書いた数学エッセイを修正している。話は以前にこのブログでも書いたのでここでは話を繰り返さないが、2を除く、素数の系列が4n-1か4n+1かであると小川洋子さんが『博士の愛した数式』で書いたことについてどう理解するかという説明である。

いやこんな説明など必要がないという方が大多数だと思う。これは中学校で学ぶ初歩の代数を知っていれば、わかることである。しかし、長年教師をしてきたせいでそれでもなんとか直観的な説明を付け加えたく成りという習性をもっている。

それに加えてそういう素数の系列ではないが、4で自然数を割ったときに得られる数の系列として4n, 4n+1, 4n+2, 4n+3があるが、そういう系列が自然界でも現れる現象があることを説明したエッセイである。これは放射性同位元素の崩壊の系列と関係している。

長年教師をした習性はなかなか抜けないというか、生きている限り持ち続けるのであろう。

90万部売れた数学テクスト

2023-10-12 11:49:00 | 数学
英語で書かれた数学書で90万部売れた数学テクストがあると先日来た友人が教えてくれた。

数学書でこんなに売れた書など他にはないであろう。詳しい書名は知らないが、MITの名物教授だったGilbert Strangの書いた線形代数の本だという(注)。

英語を読める人は世界中にいるので、こういう奇跡みたいなことも起こるのであろう。

Strangは今年の5月か6月に89歳でMITを退職した。1934年生まれというから私と比べてもたった5歳上だけである。だから、私にとってはStrangは私の世代に属すると言ってよい。

昨日、彼の最終講義のYou-Tubeを見たところである。Amazon Comでの彼の線形代数の本の評でも彼の本を読んだ人はべた褒めであり、彼の線形代数に対する愛がなみなみでないことを彼の本の日本人の読者も書いている。

Strang自身は偏微分方程式論が専門のようだが、線形代数のテクストと講義で後世に間違いなく残るであろう。

私自身もこの有名な書の日本語訳を持っているのだと思うが、その価値がわかっていなかった。

日本で有名な高木貞治の『解析概論』は長年にわたって読まれているので、数十万部が売れているであろう。また最近では吉田武『オイラーの贈物』(海鳴社)は3万部が売れたという。これは海鳴社版だけであるから、現在の東海大学出版会版まで含めるとどのくらい売れているのかはわからない。

『オイラーの贈物』は私自身は通読したことはないが、理解可能な数学書であろう。『解析概論』はこれを読んだ人も多いのだろうが、私などは半ばくらいまでしか読んだことはない。

(注)G. Strang, ''Linear Algebra and its Applications" (Academic Press)であろうか。もっともStrangはこの本の後も数冊の線形代数の著作がある。アマゾンで調べたところ、定価が9000円近い訳書がある。線形代数の応用についての記述が詳しいという。

ベクトル空間の公理とか一次独立性とか基底とか次元とかについてStrangがどのように書いているのか知りたいと思っている。

友、遠方より来たる

2023-10-11 11:51:33 | 本と雑誌
「友、遠方より来たる、また楽しからずや」だったか、昔、高校の漢文の時間に学んだと思う。

昨日はブログを休んだが、古くからの友人が訪ねてきて、彼の話を夢中で聞いたので、ブログを書く暇がとれなかった。

私にはそういうことは珍しい。だいたい友人が訪れることなどほとんどない。友人と言われる人がいなかったわけではないのだが、今親密に付き合っている人はいない。

そういう私でも訪れてくれる人がいることはうれしい。それにその私よりも年少のこの友人の経験はいろいろ豊富である。彼の話を一日中それも夕方も夕食を一緒にとりながら聞いたのだが、彼の人柄がいいせいもあるが、それだけでもなく私たち二人の志向がよく似ているせいもあって楽しかった。

昔の線形代数の本を紹介されたりした。「線形代数学」1, 2とその演習書である。マリチェフ著で東京出版の書だという。1をこの友人が読んでいるというが、2は用がないという。ところが彼が口を滑らしたのは2は微分形式の一番わかりやすく書かれたテクストであるということだった。

私はベクトル解析を納得できるように理解したいと思っているが、ベクトル解析は結局のところ微分形式の学習まで行かないと完結しないと思っている。それで友人にその書名を教えてほしいと頼んだ。

今日仕事場に来たら、友人から書名の連絡があった。それが上に述べた本だった。もう出版されてはいないそうだから、古本で調べてみようか。

言葉

2023-10-09 11:53:44 | 本と雑誌
言葉と言っても死を意味する言葉のことである。

7月だったか私たちと一緒に雑談会を行ってきたかたのことを知人に聞かれた。その生死をである。その時、その方の生死の情報を知らなかったのでしかたなくそのご子息に電話を入れた。

そのときに言われたのが父は数年前に他界したという言葉だった。その後、9月の後半になって江沢洋さんの死去を新聞で知った。そのことをこのブログで書いたら、知人の S さんからメールをもらった。そのメールには鬼籍に入ったという語があった。

私たちは死去とか逝去とかも用語として使うが、直接にそういう言葉を避けることが多い。私自身が使う語は亡くなるという語である。

これは私の祖母などが使っていた言葉であるが、その言葉を聞いた若いときはとても使える言葉ではなかった。

視力の基準

2023-10-07 10:23:10 | 本と雑誌
「視力の基準」という昔書いたエッセイを昨日修正したが、昨夜ほぼ完成した。
以前には角度の弧度法による定義を視力の定義の後に書くような体裁だった。

10年以上を経て自分の昔の文章を読んでみると、なんだかかえって難しく感じられた。それで角度の弧度法による定義を先に書くことにした。そうするとかなり大幅に書きかえる作業が必要だった。

私の眼科の担当医の先生も何もおしゃらなかったが、前のエッセイは読みにくかっただろう。というのは前の原稿ができたときに1部だけ行きつけの眼科医院にそのコピーを差し上げたのであった。

これはその担当医師から文献のコピーを頂いたりしていたからである。視力 I は最小視角 \theta に反比例する。中学校で学ぶ反比例のいい例となっている。

もっとも反比例(英語の文献等では逆比例ともいう)は私にはある二つの変数x, yがあって、その積 xy=一定であるような関係という方がぴったりくる。

この xy=一定でその一定値が小さければ小さいほど双曲線 xy=一定はx軸、y軸に接近してくる。

中学校や高校で双曲線について学んだときには経験上から知っていたかもしれない知識を忘れてしまっていた。これは最近聞かれたある問題について考えていたときに、関係してわかったことである。

もっとも「視力の基準」のエッセイにはそういうことは書いていない。そういうどうでもいいことだが、やはり何かの機会がないと気がつかないので、書いておきたい気持ちが起きたが、なにせ結構エッセイが長くなったので断念した。

悩んでいること

2023-10-06 10:27:28 | 数学
以前に、とはいってももう2010年のことだから10年以上前のことである。「視力の基準」という数学エッセイを「数学・物理通信」に書いた。いま、そのエッセイを改訂しようとしている。

視力の単位を単刀直入に紹介しようとしたために、角度を弧度法で測ることの説明を後回しにしたが、これがやはりあまりよくなかったと今では思っている。

それで角度を弧度法で定義することをまず行ってから、視力の話に入って行った方がいいと思っている。もちろん2010年にもそういうことを考えたのだが、そのときは視力の単位を先に導入することを優先して、角度を弧度法で測るということは後で説明をした。

視力の単位をどういう風に導入しているかを先に書いたのだが、そこに出てくる単位がラディアンradであり、3.0*10^{-4} radの視角のあるC型のすきまを認めることができる視力の人は1の視力をもっていると書いた。

ところが昔のエッセイを読んでみるとなんでこの数字が出てきたのか説明をしておきたくなった。自分で書いたのだが、10年以上も経つと自分自身も他人そのものである。

はじめはこのことを脚注で書いておこうかと思って脚注にその数値の計算式を書こうとその文章を書いたのだが、やはり先に角度の弧度法を説明しておいた方がよいと思い始めた。

視力表を5mのところから見てCのどこ(左右、上下)が空いているのかをいうのだが、視力1の人が見分けることのできる隙間の大きさは1.5mmであるという。

そうすると視力表までの距離5mでこの空所の幅1.5mmを割ると

     1.5mm/5m=3.0*10^{-4} rad

となる。この式の分子の単位はmmであり、分母の長さの単位はmである。mをmmに換算するか、または逆にmmをmに換算して計算しなければならない。こうやって計算すれば、上の式が正しいことを認めてもらえるだろう。

この計算法を示さないで視力1の最小視角として3.0*10^{-4} radと書いたのはやはり行きすぎだった。




one driveとは

2023-10-05 21:42:28 | 本と雑誌
one driveとはどのようなものか知らなかった。

ようやく説明を読んでcloudに保存すれば、別の著者からも論文とかの原稿が修正できるということを知った。

また自分の文書をcloudに保存すれば、自分のパソコンのメモリーが少なくすることができるのかもしれない。ほんとうにそうなのかどうかはまだ知らないのだが。

いやこのところワープロ機能にも支障が生じていたので困ったと思っていたが、one driveの使用でメモ-の節約になるのなら積極的に使ってもいいのかもしれない。



新しいガラ携帯

2023-10-05 14:06:13 | 本と雑誌
新しいガラ携帯を購入した。来年の1月末でいわゆるガラ系はなくなるかと思っていたのだが、そうではなかった。もっとも3Gから4Gには等級が上がった。

充電器のコンセントがちがっているので、新しい充電器を購入した。どこがちがうのかわからない。もちろん情報の伝達容量は大きくなるとは思うが。

私はあまり携帯を使わないほうなので、最低のレベルの携帯である。

オクトーバーフェスト

2023-10-04 13:48:29 | 食・レシピ
久しぶりに理髪店に行った。暑いときにはどこにも行く気がしなかったが、少し涼しくなってきたから活動的になれるようになった。

10月になると松山でも日曜日にいろいろの催しがある。愛媛日独協会では松山でも10月22日に市駅前のビアホールでミュンヘンでのオクトバーフェストを計画されているが、私は都合で出席できない。

日本各地の都市でオクトーバーフェストが行われるようになった。早かったのは横浜だろうか。名古屋でも東京でも広島でもまた松山でもオクトーバーフェストが行われるという。

オクトバーフェストはもちろんドイツはミュンヘンのビール祭りである。もっとも本家のオクトーバーフェストはオクトーバーフェストと言いながら、9月の下旬には始まるので要注意である。

それにこの時期にミュンヘンに行こうと思えば、ホテルなどなかなかとれないであろう。

ミュンヘンの人口は150万くらいだと思うが、この期間の観光客は600万くらいだともいう。もっともオクトーバーフェストは3週間くらい続くのでその間の観光客だと思えば、さほどではないのかもしれない。

緑の丘の赤い屋根

2023-10-03 12:52:58 | 本と雑誌
私くらいの世代の人なら、

  緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台
  鐘が鳴ります、キンコンカン
  めえめえ子ヤギも鳴いてます
  風はそよ風、丘の上
  黄色い小窓はおいらの家よ

という詩を読めば、すぐにこれが歌の文句であることをわかるだろう。

もうよくは覚えていないのだが、ラジオで放送されていたドラマの主題歌であったと思う。

戦争が終わって、空襲もなくなり、おどおどしないで生きていけるようになったという実感は今でも忘れられない。

亡くなった安倍晋三氏が憲法を改正して軍隊を正規にもちたいなどというのを聞いたときにはびっくり仰天した世代である。

もっとも私の世代でも数年前に亡くなった私の次兄などは正規の軍隊を持つべきだとの意見だったらしいから同じ世代でも意見は一様ではないのだが。