まだ発行はしていないが、数学・物理通信13巻号外号の編集で勢力を使ったのでちょっとした虚脱感である。
この状態が回復するには数日かかると思う。いつも起こる現象だが、今回はいつもほどはひどくはない。
それにしても虚脱感が起こるのはしかたがない。最近は言葉を忘れるので日常会話にも支障が起こることが多い。人の名前をなかなか思い出さないのはもうずいぶん以前からだが、先日は普通の名詞がでて来なかった。
そのうちに会話の相手からその使いたかった言葉が出てきてああそうだったと思った。これは本を出版した後で著者のもらう報酬である、印税という言葉だった。
印税をもらうという経験を数回はしたことがあるが、数十万円のオーダーで大したことはない。本を書くという行為とか出版するという行為は文化行為ではあるが、それで私のような立場の者にとっては、おおきく儲けるというような行為は余分のつけたしであろう。
これは小説を書く作家とはちがう。彼らはそれで生活をしているのであるから。もっともベストセラーを出すような作家はそのときだけかもしれないが、巨額の収入を得ることができる。
そこら辺は片手間と言ってはちょっと語弊があるが、私たちのような理系の本を書く者たちとはちがう。
もちろん、先日述べたStrangのような例外はある。Strangの線形代数のテクストは世界中で90万部が売れたという話であった。