(写真は「お昼のNHKニュース」)
【国会傍聴記 2007-11-14 参院本会議】
きょうの逆転国会のポイント
①政府関係機関の人事案を否決(不同意)
②内閣提出法案(閣法)が3本成立
と一見両極端の結果。ところがこれは国会運営が完全に民主党ペースになってきたことを意味してるのではないですか。野党が閣法を全否決したら、支持率は下がりますから。
○政府提出の人事案、3人を否決 国会の不同意確定
午前10時開会。
「14機関28人」は4つの議題に分割して、採決しました。
まずは、
[①]
まず一括して採決をとったのは、国家公務員倫理審査会の4人のうち3人や地方分権改革推進委員会委員など。
政府案は国家公務員倫理審査委員に草野忠義さんらを指名。
ちなみに草野さんは1966年東大経済学部卒→日産自動車入社→日産労組書記長→自動車総連会長→連合副会長→連合事務局長という経歴。つまり民主党(民社協会)系の人ですが、政府・与党が指名しているわけですよ。
会計検査院の検査官には山浦久志さん(明大院・会計専門職研究科長)
地方分権推進委のメンバーは、当初、朝日新聞が「山田京都府知事」と報じました。内閣官房が衆参の議院運営委員会に案を出す前だったので問題になり、政府は人事案のさしかえを迫られました。
「京都府知事案」は総務省ないし内閣官房の職員がリークしたのだと私は推測しています。だとしたら、「逆転国会」を理解できていない。歴史認識が浅いです。
採決の結果、京都府知事に代わり、西尾勝東大名誉教授を充てるなどの一連の人事案件は
総数 226 「賛成」226 「反対」0、
江田議長は「全会一致で同意することに決しました」。
[②]
次に「公務員倫理審委員のうち北城恪太郎さんを充てる人事案件など」。
北城さんは財界人です。経済同友会の代表幹事をやっていましたが、小泉構造改革路線の協力者として、国民新党が「小泉イズムに染まっている」として不適格だとしています。
総数 222 「賛成」215 「反対」7
投票総数が4人減っているのが気になりますが、国民新党でしょうか?
衆院と違い、参院では国民新党は民主党と統一会派を組んでいます。まあそのくらいのカオス(混沌)は無視しないと「ねじれ国会」の全体像はつかめません(国民新党殿、ごめんなさい)。
[③]
国家公安委員には田尾健二郎さん(裁判官)が就任します。
(総数224、賛成210、反対14=共産・社民)
さて。
[④]
「公害等~~審査会」に田中義枝さん(厚生省医官)、「労働保険審査会」に平野由美子さん(人事院)、運輸審議会に長尾正和さん(東大法→運輸省部長)の3人の人事案。
総数229 賛成105 反対124で否決されました。
この瞬間に、法律の規定上、この3人の就任は完全に消えました。
同時に「年収1800万円」がパー!!(朝日14日付「時々刻々」参照)
まあ、人生なんて運ですから。
○閣法が相次ぎ成立
次に衆院から送られた政府提出法律案が議題になりました。
消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案
電気用品安全法の一部を改正する法律案
気象業務法の一部を改正する法律案
が全会一致や賛成多数で可決、成立しました。
9月10日召集から2ヶ月経ってようやく国会も調子が出てきました。
(上記3法の概要↓ ※google検索の方が便利かな?)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/a3.htm
↓参議院の審議のもようはこちらをクリック
↓クリックで「下町の太陽」を応援してください!
↓こちらもカチッと!
【エントリーご紹介】「国会同意人事」をめぐる168臨時国会の流れ
【逆転国会】政府人事案が不同意確定 厚生、運輸、人事院出身の3人 参院本会議(11/14)
【国会傍聴記】衆院本会議 国会同意人事とテロ特可決 主戦場の参院へ送付(11/13)
衆参両院の議運委員長、同意人事「早期収拾」で合意(10/31)
国会同意人事案件 政府リストが朝日新聞に流出 政府が候補者さしかえ作業(10/26)
国会同意人事とテロ新法 自民党国対が民主党国対に「談合」もちかけ(10/5)
【国会傍聴記】輿石会長、逆転国会で参院民主党の攻勢を予告 参院代表質問(10/4)
理解に苦しむ参院民主党・輿石会長 予算委員長は自民(9/7)
【新聞記事】
国会同意人事56年ぶり「不同意」 次は日銀総裁焦点(朝日新聞) - goo ニュース
政府が今国会に提出していた国会同意人事案件14機関28人分のうち3機関3人分が、14日午前の参院本会議で、民主党など野党の反対多数で否決された。投票総数229のうち、賛成105、反対124だった。同意人事が「不同意」になったのは、51年に参院で電波監理委員会(当時)の委員1人が否決されて以来56年ぶり。来年3月には同意人事の対象となる福井俊彦・日銀総裁の任期切れが控えており、与党と民主党が協調可能な人選ができるかどうかが焦点になる。
「不同意」になったのは、労働保険審査会委員の平野由美子・元国家公務員倫理審査会事務局長、運輸審議会委員の長尾正和・元運輸省海上技術安全局船員部長、公害健康被害補償不服審査会委員の田中義枝・元国立感染症研究所企画調整主幹の3人。野党のうち民主、社民、国民新の各党はいずれも反対、共産党は賛成した。その他の13機関25人は同意された。
同意人事をめぐっては13日の衆院本会議で、28人全員が同意されたが、予算案や法案で認められている衆院の優越の制度はなく、両院のいずれかで否決されれば不同意となる。不同意となった田中、平野両氏は各機関の設置法に基づき、後任人事が国会で同意されるまで暫定的に職にとどまる。長尾氏は任期満了日だった今月1日付で退任の扱いになる。