【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【諫早湾】国営諫早湾干拓地に「開門命令」は自民党農政破たんの象徴だ

2008年06月27日 21時58分08秒 | その他

[写真は27日放送NHKニュース7]

 自民党農政失敗の象徴的判決です。

 佐賀地裁は自民党政府に対して、諫早湾干拓地(リンク先はwikipedia)の排水門を開放するよう命令しました。
 裁判官は自民党政府に“3年間の執行猶予”を与えました。

 有明海沿岸の漁民らが、干拓事業で漁業被害を受け、生活が成り立たなくなったとして、自民党政府を訴えていました。

 ①東北・新潟などと比べて米作が低調な九州での農地を増やすという口実で、
 ②ムツゴロウなど有明海の貴重な環境をこわし、
 ③漁業者の生活を破壊した

 取り返しのつかない失策で→漁業を衰退させ→税金をムダにした

 総事業費は2500億円ですが、ことし4月1日のこけら落としで入植したのは、たったの42人。

 得をしたのは自民党の一部の政治家だけです。

[下の3枚の画像]

 自民党政府により分断される有明海です。1997年の「閉門」は、通称“ギロチン”と呼ばれています。佐賀地裁の「開門命令」は下りましたが、自然が完全に回復することはありません。







 そして11年が過ぎて・・・



[写真は朝日新聞=潮受け堤防の北部排水門。調整池(右)と有明海側で色が違う=26日、長崎県諫早市、同社ヘリから、金川雄策撮影]

 「農政」とは、米作、畑作にとどまらず、畜産業、林業、漁業、養殖業など幅広い食料・食糧を安心してつくれ、食べられる態勢をととのえる政治の基本です。

 漁業を破壊してでも、農業の“振興”が必要だ--こんな自民党の「説明」をあなたはまだ信じるのですか?

 ラムサール条約でグローバルに保護が義務づけられている湿地(wetland)を“ギロチン”で破壊した環境への意識の低さも問題です。

 1997年当時の民主党は「公共事業コントロール法案」を提出しましたが、可決には議席が足りません。
 “ギロチン”直前に、鳩山由起夫代表が首相官邸に乗り込み、橋本龍太郎首相(自民党総裁)に抗議しました。このとき、橋本さんは「君は工学部(卒業)だけど、僕は法学部(卒業)だから分からないよ」といった趣旨の会話をしたと、記者団に答えました。

 自民党中堅の原田義昭さんは自身のブログ6月25日付で「『血を吐くような』農家の窮状」と題して

(引用はじめ)

 今の農業は本当に苦しく、特に近時の原油高からくる肥料代、燃料費、機材費などは農家経営の厳しさに追い討ちをかけることになりました。わが党にとっても深刻な状態が続きます。

(引用おわり)


 と、農業不振は自民党に、「深刻な状態」をもたらしてると書きました。9ヶ月の通年ロングラン国会を経て、久々に地元活動に入った自民党議員はようやく「危機」に気づきだしたようです。

 このままでは自民党より先に、日本が崩壊します。

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ありがとうございました。

[当ブログ内の関連エントリ]

【諫早湾】「1人59億円」と「自給率39%」を双肩に営農開始!(2008年4月1日付)
「あの人」がいない諫早湾干拓事業完工式(2007年11月20日付)


“宝の海”の再生に光…諫早判決で漁業者たち(読売新聞) - goo ニュース

 国営諫早湾干拓事業について、佐賀地裁は27日、潮受け堤防の排水門を5年間開門することを国に命じ、「環境への影響を十分に調査すべきだ」と指摘した。潮受け堤防の閉め切りから11年余。かつて豊富な資源を誇った海で生計をたてる漁業者たちや、環境問題に関心を寄せる人たちは「これで有明海が生き返れば」と“宝の海”の再生に光を見いだした。(後略)