宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

国によるがれき処理の代行法が成立 民自公修正協議

2011年08月12日 11時00分26秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年8月12日 午前11時)

 会期末(8月31日(水))を前にして、参院での審議時間を考えると、衆院通過のリミットが近づいています。

 そのため、いくつかのエントリーが前後重複すると思います。いずれ時間があったら調整しますが、2011年8月12日の金曜日の参院本会議で、国のがれき処理代行法が成立しました。

 これはまず、小里泰弘さん、田中和徳さんら自民党、江田康幸さんら公明党などが衆院に共同提出した法案で、後から、閣法も提出。衆院本会議では同時に審議入りしました。

 これは、橋本行革で廃棄物行政が厚生省から環境省に移ったものの、法律の想定外の多量のがれき(災害廃棄物)の発生でてんてこ舞いになっています。自治体が処理して、環境省に概算払いを要求するのですが、これが滞っており、江田五月・環境大臣も「職員を現地に常駐させています」(メールマガジン)とはいうものの、なかなかうまくいかないようです。

 また、総務大臣の片山善博さんも、発災直後から、総務委員会などで、「阪神大震災との違いは、(神戸市、芦屋市などと違い)、失礼ながら今回の被災自治体はどこも財政状態が悪い」とたびたび答弁しています。自治体ごとの能力差というのは、どのような行政課題でも、必ずあり、それはある程度認めるべきですが、がれきを除去しないと、復旧から復興へ何も始まりません。

 もちろん、現在進行中の問題ですので、今から環境省から他省に移すというわけにも行きませんが、自公案提出時の7月28日の本会議での小里さんは「復興庁ができるまでは復興実施本部に頑張ってほしい」「平野達男・復興大臣、『私がやる』と言ってください。国交省もがんばってください」としました。また、現行の制度だと、被災自治体の中から財政再建団体がでかねない、とも小里さんは指摘しました。

 その後、民自公の修正協議をして、昨日、衆院本会議を通過し、その後、参院復興特別委員会で審議、採決。きょう午前10時の参院本会議でスピード可決・成立しました。内容は、「処理費用の95%を国が負担し、残りの5%も後から地方交付税で補てんする」というものになりました。

 私はこの審議を聞いて思ったのは、これまで野党の議員立法は、官僚統治機構(いわゆる霞が関)を使えないので、政府案に比べると内容が乏しくなりがちだったのですが、自民党と公明党はともに、民主党を上回る地方議員や推薦首長がいるので、市町村の情報ルートはむしろ、自民党や公明党の方に吸い上がる現状にあるように思います。

 この辺の市町村のルートが機能している自民党や公明党は、陳情という格好で、党本部に情報が来る。一部では、復興基本法(民自公が修正で立法)の内閣府復興庁は、公明党本部がてんやわんやになって大変なので、復興庁をつくってほしい、という事情があったようにも聞きました。これは公明党にとっては、名誉だと思います。

 今国会での震災立法が野党の議員立法ペースで進んでいるのは事実です。これは民主党政府にとっては情けないことですが、非常時ですし、国会もガバメント(Government)の構成要素ですから、自民党や公明党は、自分たちの党員である地方議員や推薦首長のためにやってほしいし、民主党も虚心坦懐に頭を垂れるべきです。

 震災法案では、このほか、参院自民党の片山さつきさんらが立法した二重ローン対策法案も参院を通過して、衆院に送られており、今国会中に立法ないしは政令改正が行われると思われます。