宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

第177通常国会が閉会 

2011年08月31日 13時16分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 第177常会(第177回通常国会)2011年(平成23年)1月24日(月)の召集から、70日間の会期延長を経て、きょう8月31日(水)、閉会しました。

 政権交代後に、再ねじれで迎える初めての通常国会でしたが、当初予算は年度内成立。しかし、特例公債法案をめぐって半年間にわたる3党協議が続き、最終的に3党合意という一つの果実をつくることができました。先例の積み重ねでやがては、両院協議会改革など国会法の改正など、ルールづくりに与野党が知恵をしぼってほしいと思います。衆参ねじれのおかげで、衆院の強行採決がまったくない国会ともなりました。

 3月11日に東日本大震災が発生しましたが、これを奇貨として、野党の予算要望、議員立法などが活発化し、与党も修正協議で応じて、多くの法律が成立しました。

 横路孝弘・衆議院議長はあいさつで「東日本大震災に対処したまさに『震災国会』になりました」とし「前例にとらわれない」国会運営ができたと述べました。

 歴史に残る国会となりました。

 自民党の谷垣禎一総裁の「信なくば立たず」という言葉が心に染み入りました。

 私も220日間という国会史上5番目のロングラン国会を、けっこうスムーズに完走することができました。ことしは、けっこう楽しかったです。

 傍聴券手配などをお願いした国会議員、秘書、衆議院事務局職員、参議院事務局職員、民主党本部事務局など関係各位に心より感謝申し上げます。

 日々のページ毎のアクセス数、検索キーワード解析などから明らかになっている、ブログアクセス数を増やせるであろう話題、固有名詞の情報にとらわれず、私が国会の話題として面白いと思ったこと、国民が知るべきだと思う事項を優先して、執筆することができたました。これは、日々安定して当ブログをお読みいただいているおよそ800人前後と思われる常連読者のみなさまのおかげであり、心の底から感謝します。民主党が野党でメディア露出が少なかった2007年、2008年当時の楽しさを取り戻すことができましたし、違った意味で楽しかったです。

 ありがとうございました。

 しばらく休みたいなというのが実感です。でも何かあれば、”飛び六方”で駆け付けます。

 正念場を迎えていた衆議院・参議院を見たうえで判断すれば、日本はしっかり前進していると、私はここに断言します。

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参院は薄氷の勝利 国会が野田佳彦さんを内閣総理大臣に指名 陛下の任命後、野田内閣発足へ

2011年08月31日 12時37分47秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年8月30日(火)衆議院本会議】
【参議院本会議】

 野田佳彦さんが、第95代内閣総理大臣に指名されました。天皇陛下の任命を受けて、正式となります。

 首班指名選挙は、昨年6月に鳩山内閣総辞職を受けて、実施されて以来です。ですから、昨年7月に参院に初当選した新人は初めての首班指名選挙です。昨年9月に民主党代表選がありましたが、これは現職総理が当選しましたから、国会での首班指名選挙の手続きが不要でした。

 衆議院では、民主党・無所属クラブ、国民新党・新党日本、会派離脱中の横路孝弘議長に加えて、無所属となっている土肥隆一さんも「野田佳彦」さんに投票しましたので、308票となりました。過半数の240を大きく上回りましたが、「3分の2」数の319は大きく下回りました(衆議院は次期総選挙まで欠員1以上)。

 参議院では、すでにホームページで、全員の投票結果が明らかになっていますが、当ブログで、政府・民主党に応援してくれるであろうと指摘した、沖縄県選挙区で伝統ある「革新共闘」で当選している糸数慶子さんは、1回目は福島みずほ・社民党党首、2回目は白票(社民党と同じ投票行動)となっていました。また、自由党初当選の無所属、大江康弘さんは「谷垣禎一」さんに入れていました。

 1回目の投票結果は、

 野田佳彦さん 110票 (民主党・新緑風会の106票、国民新党の3票、無所属の浜田和幸さんの1票)
 谷垣禎一さん  85票 (自民党82票、無所属の尾辻秀久副議長、大江康弘さん、長谷川太紋さん)
 山口那津男さん19票 (公明党19票)
 渡辺喜美さん 11票 (みんなの党11票)
 志位和夫さん  6票 (日本共産党6票)
 福島みずほさん 5票 (社民党4人と糸数慶子さん)
 平沼赳夫さん 3票 (たちあがれ日本)
 舛添要一さん 2票(新党改革)

 となりました。

 統一会派「たちあがれ日本・新党改革」は各々の党首に投票しました。また、衆院と違い、参院では慣例で議長は投票しません。

 そして、決選投票では、

 野田佳彦さんが110票

 谷垣禎一さんが107票(1回目の85票に加えて、公明党19票、たちあがれ日本3票)
 白票が24票(みんなの党、日本共産党、新党改革、社民党、糸数慶子さん)

 となり、野田さんが当選しました。

 ちなみに浜田さんの引き抜きがなければ1票差だったことになります。また、社民党、新党改革はやはり厳しかったことになります。

 6月1日に衆院で、自民党・公明党・たちあがれ日本が「菅内閣不信任決議案」を提出し、2日の衆本での採決で混乱があり、震災と原子力災害での人心の不安もあいまって、不安定な政局に。力のある議員はドンドン議員立法するチャンスを得ました。が、政府を支える役人をはじめとする日本の総力を結集しにくい状態になりました。最終的に8月30日、首班指名ということになりました。ここで、自民党・公明党・たちあがれ日本の3党が統一した行動を参院の決選投票でとったことは、6月1日→8月30日の3ヶ月間の「政治空白」(谷垣総裁、山口代表らの表現)をへて筋を通したことになります。

 しかし、野田新首相はこれから天皇陛下の任命を受け、組閣をし、政務三役を決めて、体制を整えなければ行けません。おそらく9月9日(金)ないし9月12日(月)に第178臨時国会が召集され、所信表明と各党代表質問をやると思います。ということは、3月11日からの半年間のうち、その半分以上が「政治空白」だったことになります。内閣不信任案を権力闘争に利用することなどありえないことです。私は断じて許せません。

 さあ、衆参ねじれをチャンスとして、国民がしっかりと監視をしながら、与党内のニューリーダーと、野党を育てていきましょう。

  ところで、菅内閣は2011年8月30日(火)午前10時の閣議で総辞職していますが、陛下が野田さんを内閣総理大臣に任命するまでは職務執行内閣となります。災害や第三国からの攻撃などがあれば、菅内閣はすばやく対応します。

 このなかで、内閣と皇居の橋渡しをする、内閣総務官の原勝則さん(昭和54年厚生省入省)も早稲田大学政治経済学部卒業生で、野田さんの1年先輩になると思います。「総理も早大(私大)、内閣総務官も早大(私大)」というのは、橋本行革前の首席内閣参事官がどのくらい昔までさかのぼる官職なのか知りませんが、間違いなく太政官制度始まって以来の取り合わせだと思います。今は人事院総裁をやっている江利川毅さんら旧内務省(厚生省など)官僚のエリートコースとされています。古川貞次郎さんは九州大学法学部卒業生後、長崎県庁(出身は佐賀県)に2年ほど勤めてから厚生省に入ったということで相当な変わり種とされるのが、官僚のならわしです。九大は旧帝大だし、九州地方では東大と同格の扱いです。それでも、入省時には、心ない言葉を同期から浴びせられたようです。

 ホントウに時代が変わったとしかいいようがありません。ただ、両人の後輩になる私でも「大丈夫なの?」と思ちゃったり(^^;)。長年の慣れがありますからね。東大が当たり前、というより、東大法学部が当たり前で、大学院卒はかなりの変わり種、なぜなら、入省後に海外の大学院に国費留学できるので、東大法学部から直接入った方がいい、という官僚の世界も少しずつ変わってきているのでしょう。早大に限りません。初代司法大臣が建学した日本大学や、例えば、慶大経済学部、中大法学部など競争の激しい私学には、良い人材がたくさんいます。一方、国公立大学では、いわゆる駅弁大学と言われる、地方の国立大学にも人材はいますし、バブル期の名残りもあり、アメリカなど海外の大学、大学院を修了した人材は明治維新以来最多でしょう。

 成果主義では、ゴマすりが出世しますので、官僚はある程度、メリットシステム、年功序列がいいと思いますが、政治家も官僚も、およそリーダーの本物と偽物の選別のスピードが速くなっていることは、野田さんの代表選での演説やふるまいをみていても感じます。世界は待ってくれません。振るい落とされた偽者も、日本は農耕民族ですから、食べられなくなるわけではないし、再チャレンジが早くできる。いいことです。非世襲首相から非世襲首相へのバトンタッチはそれ自体が政権交代の目に見える成果です。そういう意味では、逆の発想で、宮澤喜一さん以来途絶えている東大法学部卒業の首相と私大卒の内閣総務官という取り合わせもいずれは見てみたい気もしますが、ゆっくり着実に。まずは何が何でも衆院解散までの2年。絶対に野田内閣を続けてもらわなければ、日本が潰れます。

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