[画像]答弁する米田壮・警察庁長官、2013年11月11日(日)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
【衆・国家安全保障に関する特別委員会 2013年11月11日(月)】
月曜日の午後1時、というある意味微妙な時間のスタート。
先週金曜日に続き、与党・自民党、公明党が質疑し、その後、午後2時から野党のトップバッターとして民主党の渡辺周さんが質問しました。
特定秘密保護法案(185閣法9号)では、「警察庁長官は特定秘密で、都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に指定をした旨を通知する」(法案第5条)とあります。
これについて、渡辺さんが「警察庁と47都道府県警の間でやりとりする行政文書はどのくらいあるのか?」と問うと、米田壮・警察庁長官(昭和51年警察庁入省)は、「数は数えていないので分からないが、たくさんある」とおどろくべき正直な答弁。
渡辺さんが「やりとりする行政文書の中で、秘匿を要するものはどれくらいあるのか」との質問には、米田長官は「今は特定秘密保護法のようなものがないので分類はないが、外国の情報機関とのやりとりしたものを集約すれば、相当な(機密性のある)情報になる」と答弁しました。
ここまで聞いて、あまり警察庁長官は特定秘密保護法の成立へのやる気がないように感じました。やる気があれば、「数えていない」という答弁はしません。
もともと2011年1月に海上保安庁のビデオ流出をきっかけにできた勉強会。そして、防衛省はすでに防衛機密というものがあります。そこで、法案化する作業の中で、警察庁や外務省の官邸や国会まわりの官僚が入れ込んでしまい変な法案になっているように感じます。永田町村、霞が関村は田舎ですからね。日経新聞は「自殺する暇もない」とされますが、国家公務員は、出先機関を含めると、年1000人が自殺する日本最大のブラック企業です。
渡辺さんの「警察庁で(特定秘密に限らず)30年間にわたって公開しないのはどの分野か?」との質問に、米田長官は「特定秘密に限らなければ、(犯罪組織にかかわる)人的情報源の安全確保だ」としました。
このほか、法務省の尾崎道明・公安調査庁長官も答弁し、同じく「人的情報源が特定秘密になりうる」という趣旨の答弁をしました。
[画像]答弁する、尾崎道明・法務省公安調査庁長官、2013年11月11日(月)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
こんな法案、国家公務員・警察職員自殺法案ですよ。
◇
これに先立ち、自民党の中谷元・筆頭理事が質疑。土日のテレビでは、委員会で野党が質問していないのに「論点は出尽くした」、NSC設置法案が参・特別委で趣旨説明されていないのに「成立した」と前のめり失言を連発しました。
前のめりの中谷さんはきょうも、情報公開法改正法案(185衆法1号)の提出者として座っていた民主党の枝野幸男さんに対して「特定秘密保護法案の別表のどれが足りないか?」と早くも閣法の修正協議。枝野さんは「情報公開法案の提出者として出席しております」と答えました。なお、枝野さんは委員でないようです。そして、枝野さんが「後ほど、同僚議員が(特定秘密保護法案を)質問させていただきますので、そのときに議論してください」と答弁すると、自民党席から「なんだよ、答弁しろよ!」とのヤジが飛びました。自民党が与党期の第1委員室では、このような不可思議なヤジが飛ぶことが多く、自民党国対は、どういう基準で、与党期の第1委員室の委員を選んでいるのか見識を疑います。
さらに、中谷さんは「いやしくも元官房長官ですから、ぜひ(閣法の)別表を精査してほしい」と畳みかけました。しかし、枝野さんは、衆法を提出した衆議院議員として座っているのであって、元官房長官は筋違いです。中谷さんも8期生なのですが、法律というものをもっと学んでいただきたい。こういう発言をしていると、防衛大学は法律学を教えているのか、という思いまで持っています。「ハニードロップ」とわざと「ハニートラップ」を間違えて発言する自民党議員らしさで、素晴らしい後輩たちをかばう、やさしい中谷さんはしっかりしてほしい。
同時に、枝野さんの矜持も感じました。
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