【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

クリーンな民主党、自民党選挙違反「選挙を金で買うのは大きな問題であり、民主主義の根幹にかかわる」

2013年11月05日 20時15分19秒 | 第47回衆院選2014年12月アベノミクス解散

 とことんクリーンでオープンな民主党の海江田万里代表は、自民党衆議院議員が公職選挙法違反の疑いで東京地検特捜部の捜査を受けていることについて、「選挙を金で買うのは大きな問題であり、民主主義の根幹なので、司直の手で解明してほしい」と語りました。2013年11月5日の連休明け振替定例記者会見での発言。

 鹿児島2区の自民党の徳田毅議員室に東京地検特捜部の家宅捜索が先週入ったことについて、「私も第一議員会館なので驚いた」としながら答えました。

 買収饗応は、衆院小選挙区ではほぼ根絶されました。

 平成6年改正公職選挙法(細川・羽田法)で実現した衆議院小選挙区では、得票率49%の票読みを、得票率51%に持ち上げるためにお金を配っても勝てません。それ以前の中選挙区では、おおむね11%→12%に持ち上げれば当選できました。49%→51%と違い、11%→12%にすることはお金の力でできました。小選挙区になったことで、長妻昭さんのように清貧かつ積極的に敵をつくる攻撃型の政治家が衆議院に出るようになってきました。

 中選挙区時代は、ある自民党候補はサランラップで包んだ1万円を具にしたおにぎりを配っていました。しかも公約は「自民党内に自分の派閥をつくり総裁選にいずれ出る」というものでしたが、時代の変化についていけず落選確実に。その瞬間、陣営幹部が「だから(中盤の選対会議で私はおにぎりの具を)2万円にしろといったじゃないか!」と絶叫したのは自民党では有名な話です。その後は立候補していません。

 衆議院選挙での買収工作は民主党では根絶されており、自民党でもごくわずか。民主党では、むしろうぐいす嬢と呼ばれる車上運動員の報酬が公選法施行令が定めた日額1万5000円を超えることがないよう、徹底されており、買収饗応の考え自体がありません。さらに言えば、その原資もない。

 一方、自治体ごとに選挙結果の成績が出る、参議院議員選挙では、自民党系町会議員が買収で立件されるケースは今でも残っています。

 なお、野党第1党党首が反対党とはいえ、任意捜査中の案件で、捜査を支持するのは異例。また、この記者会見では、代表の発言に先立って、司会役の徳永エリ参議院議員が、「きょうの読売新聞の記事はすばらしい」とマイク越しに絶賛するなど、ますますオープンぶりに拍車がかかっています。伏魔殿自民党政権との対比がより際立ってきましたが、民主党現執行部には、自分の隠したい過去もオープンにする豪胆さも求められているといえるでしょう。


NSC設置法案採決へ大詰め「公文書破壊大王の外務省・谷内局長内定」に国会は勝てるか?民主党修正案提出

2013年11月05日 19時21分04秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

[画像]菅官房長官(国家安全保障強化担当相)の後ろをうかがう、民主党の長島昭久(左)、渡辺周、両元防衛副大臣、2013年11月5日(火)、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

【衆議院NSC特別委(国家安全保障に関する特別委員会) 2013年11月5日(火)】

 NSC特別委は、特定秘密保護法案の審議入りを急ぐためにも、日本版NSC設置法案(183閣法75号)の採決を急いでいます。ちなみに、今国会中に成立させられなかった一般法案は、消費税5%の時代には成立させられないと見込まれます。来年4月に消費税増税で特定秘密保護法成立でゴールデンウィークでは、安倍自民党はピンチでしょう。

 提案型野党の民主党が、2013年11月5日(火)の午前9時、委員会に民主党単独の修正案を提出し、渡辺周・元防衛副大臣が趣旨説明しました。

 その全文やイラストは、民主党ホームページで見ることができます。



 民主党ホームページの説明図で明らかなように、政府提出法案にあった安全保障(NSC)担当首相補佐官を削除します。



 これは10月31日の質疑で、みんなの党の山内康一さんが「政治家は目立ちたいから、NSC担当首相補佐官には政治家を充てるべきではない」と指摘し、「良い指摘だ」とのヤジを同僚委員からもらっています。

 きょうの答弁では、民主党の長島昭久さんが「私自身が官邸を経験しましたが、これだけ面々がそろっている官邸で、指揮・管理ができるのか、と疑問を感じることもありました。総理補佐官は私も経験したけど、中途半端な存在です。部下もいないし、ラインからもはずれている。だから廃止します」と答弁。自分が経験したからこそ、廃止できるポストだと語りました。



 政権交代ある二大政党政治のまた新しい出発の日です。

 一方、同じ防衛副大臣経験者であり、1期先輩ながら官邸経験こそない渡辺周さんは「質の高い情報を集めてこそ、正しい政策決定ができる」と情報収集・分析の質の向上を主張しました。





 民主党案の2つ目のポイントは、閣法の「安全保障局長(NSC事務局長)」を削除し、現在いる内閣危機管理監を「安危監」にして官房副長官の指揮命令系統に入るというものです。これについては先週末の読売新聞の報道以降、「初代安全保障局長に谷内正太郎元外務事務次官」という新聞辞令が出ています。防衛族のドン、自民党の石破茂幹事長は、この国会の最初の予算委で、「安全保障の企画・立案を外務省からNSC(官邸、外務省、防衛省)に移すのがポイントです」(10月21日)と語っています。外務省は戦後、通商行政がはがされ、日米安全保障条約課など安全保障行政の多くも防衛省に移っています。そこで、NSC局長をとりにいっているのでしょうが、民主党修正が反映されると、その局長ポスト自体がなくなります。

 民主党修正案には「NSC4大臣会合の議事録作成義務付け」が入っています。先の通常国会で、官房副長官をねらう男であることが明らかになった2期生、後藤祐一さんが提出者として答弁し、「将来において国民に堂々と説明ができる政策決定ができる」と、まさに堂々と答弁しました。

 谷内正太郎初代局長内定者(報道)は、2001年情報公開法施行直前に外務省の筆頭局長である外交政策局長として省内公文書破棄を指揮したとされています。同法による公文書(行政文書)は「施行後に作成した文書と施行時に保有していた文書」なので、施行前に破棄する行為は違法ではありません。とはいえ、大量の破棄によって、日本民族の歴史を語る貴重な資料が失われ、その逸失利益は多大です。さらに、冗談のような本当の話で、出入り業者に渡った公文書は、裁断処理して再生してトイレットペーパーとなり、外務省にかえってきたそうです。民主党の海江田万里代表も5日の記者会見で「情報は国民の財産です」と述べています。合法とはいえ国民の財産を省益のために破壊した「公文書破棄大王」が国家安全保障局長になっていいのでしょうが。

 福田康夫内閣の初代公文書管理担当大臣で、議員として公文書管理法成立を主導した上川陽子・現総務副大臣は、10月30日の委員会答弁で「国立公文書館とは別に、外務省には外交史料館がある」との後藤祐一さんの指摘に同調しました。

 このように、いわば公文書破棄大王であり、個人と省益のために、衆議院で法案審議中の「国家安全保障局長に谷内氏」という記事を自分ないしは後輩にリークさせるという、時代遅れの谷内氏。それと自民公など選挙でえらばれ、政権を担当し、官邸もやっている政治家とのたたかいとなってきました。

 閣法と修正案をめぐっては、生活の党の玉城デニーさんが「両方の意見になるほどと思いました」と思わせぶりな発言で質疑を締めくくりました。なお、玉城さんは昨年民主党離党(除籍)していますが、彼は沖縄県選出です。

 そして、菅官房長官は「議事録には機微な内容があるので、民主党政権でも自民党政権でも作成してこなかった」としながらも「国益を損なわないように勘案しつつ検討したい」と答弁し、民主党修正案に含みを持たせました。ただ、閣僚ですから、最終的な修正合意は、特別委員会理事らの仕事になります。

 委員会はあす午後3時に再開し、法案は採決される見通しです。国会が勝つか、谷内氏ら外務省が勝つか。そのためには、民主党修正を反映して可決するのがベストです。

【衆議院本会議 2013年11月5日(火)】

 衆議院本会議で
 「薬事法を改めて、医薬品・医療機器安全確保法にする法案」(183閣法73号)
 「再生医療安全確保法案」(74号)
 の再生医療2法案と
 「自動車運転の重過失による処罰の強化法案」(183閣法52号)
 と、
 「海賊多発海域における日本船舶の民間人警備員特別措置法案」(185閣法4号)
 の合計4法案が可決し、参院に送られました。73号は附帯決議付き。

【参議院第一種常任委員会 一般質疑 2013年11月5日(火)】

 参議院の省別の委員会(第一種常任委員会)では、大臣の所信表明に対する一般質疑が行われました(いわゆる店開き)。

 この後、参議院厚生労働委員会では、「生活保護法改正法案」(185閣法5号)と「生活困窮者自立支援法案」(6号)の水際作戦2法案が審議入り。田村憲久・厚生労働大臣は「生活保護法は60年ぶりの大改正で、不正受給の罰則を強化したり、医師に対して生活保護受給患者への後発医薬品の使用を促したりする法案で、先の通常国会での衆院での修正を反映したものです」と趣旨説明しました。会期をまたいだので、参、衆それぞれの可決が必要。先の通常国会では参院でも採決が可能な審議時間がとられており、質疑よりも、修正協議があるかどうかが焦点になりそうです。


【速報】iPS再生医療などの安全性を確保する法案が衆院で全会一致で可決、参院へ 今国会成立確実

2013年11月05日 13時07分00秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

 衆議院は2013年11月5日(火)の本会議で「再生医療安全確保法案(再生医療等の安全性の確保等に関する法律案)」(議案番号第183回国会内閣提出法案第74号)を採決し、全会一致で可決しました。今日中に参院に送付される見通し。参院では、厚生労働委員会で審議され、今国会(12月6日まで】中に可決、成立するのが確実となりました。

 参議院厚生労働委員長は、参院選後に野党から与党に委員長が交代しており、衆院での全会一致可決を受けて、与党ペースで審議が進む見通し。

 法律の施行は「公布から1年以内に政令で定める日」となっており、遅ければ、2014年12月ということになります。ただし、施行前でも、ips細胞などの臨床への使用を「認定するよう申請」することはできることから、iPS細胞の臨床への使用開始前の法施行は確実。医療においても、成長戦略においても大きな一歩となりました。