[画像]政府に対する警告決議について発言する、安倍晋三首相(自民党総裁)、2015年7月1日、参議院本会議、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
いかにもアクセス数稼ぎのタイトルをつけてしまいましたが(笑)、事実です。
さて、延長国会最初の水曜日ということで、これまでなら3つぐらいのエントリー記事に分けていたような内容を1つのエントリーにまとめたいと考えます。先月から新規購読した方を含めて、すべてのみなさんが今月も会員制ブログの継続の定期購読会員になってくださったことが、配信会社「レジまぐ(メディアインデックス社)」からメールが来ました。ぜひ、こちらのブログのみならず、会員制ブログも継続会員になっていただきますようお願いします。
【平成27年2015年7月1日(水) 参議院本会議】
延長国会にはみ出してしまいましたが、平成25年度決算をフィニッシュしました。ここ10年前後では、スピード審査と言えます。
平成25年度決算と、平成25年度の予備費使用総調書の委員長報告の後、討論に。
民主党の安井美沙子さんは、予備費、決算ともに反対。「まず、会期延長は(参議院自民党への)官邸の圧力が強い昨今の情勢を体現している。(参議院を軽視する)60日ルールを使わないようにしたい」「公共事業頼みから脱却すべきだ」とし、反対しました。
共産党の井上哲士さんは「復興特別法人税の(当該年度への)前倒し廃止で巨額の内部留保を企業が抱えた」と語りました。
これはどういうことかというと、2012年12月の政権交代後、翌年4月の黒田新総裁による異次元の金融緩和を見越して、2013年1月から上場株式が急騰しました。このため、企業が自社株も含めた保有株の塩漬けをといて売却益を得ました。これはその期の会社全体の利益になり、それを勘案して納税額を計算していたところ、とつぜん復興特別法人税が廃止されたため、その分の納税予定額がまるまる帰ってきたことになります。構造不況業種で、今の社員が定年になるころに会社を畳むと社長が公言している元政府系の上場企業は自社株を消却したことによって得た利益が会社に帰ってくることになったので全額を社員の賞与にしています。前倒し廃止分0・8兆円は、一般会計から穴埋めされましたので、働く人1人当たり年間5000円程度の納税額と特例公債発行額分の行政サービスが受けられなかった計算になります。
本会議場に戻って、井上さんは「日本には火山学者が圧倒的に少ない」とも語り、そういうものかと思いました。
「平成25年度決算」は投票総数233、賛成152、反対81となり、賛成多数で是認しました。
「平成25年度予備費使用調書」は投票総数233、賛成155、反対78の賛成多数で承諾され、両院承諾になりました。
続いて、「内閣に対する警告決議」は投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決しました。
決議の内容については、月曜付のエントリー記事にも書いています。
安倍首相が演壇に行き、「6項目にわたる警告をいただいたことは遺憾であり、このようなご指摘を受けることがないよう改善していきます」と語りました。
参議院決算委員会が起案する警告決議は、参議院与党も含めた全会一致がこのところ毎年続いています。
次に法案の採決。
「改正活火山対策特別措置法」(189閣法74号)は投票総数231、賛成230、反対1で可決し、成立しました。5月29日提出という今国会の閣法では最も遅い提出ながらスピード成立しました。公布から6か月以内の政令で定める日に施行。
「国立研究開発法人放射線医学総合研究所法を改正し量子科学技術・研究開発機構とする法律」(189閣法35号)は投票総数233、賛成216、反対17で可決・成立しました。来年4月1日施行。1999年9の月のJCO事故、2011年3月の福島原発事故で、ヘリコプターが着いた放医研の名前が今年度で消えることが決定しました。
「建築物の省エネ向上法」(189閣法58号)は投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。官僚の思いがこもった良い法律だと感じます。公布から1年以内の政令で定める日に施行。
【同日 衆議院経済産業委員会】
●官公需法が泥仕合のすえ、ついに成立へ
「官公需の中小企業優先発注法の改正案」(189閣法40号)が全会一致で可決しました。
たいへん複雑な経緯になりました。もともとこの法案は、安倍首相が、昨年7月20日のJCサマーカンファレンスで講演した際に秋の臨時国会の提出を発表し、第187回臨時国会を「地方創生国会」と設定しました。そして昨年10月3日に国会提出。法案審査は順調でしたが、所管大臣が秘書が勝手にやった政治資金規正法違反の責任を取り辞任。それに対する報告書の理事会への提出について、衆院側委員長(公明党)が「辞任したので不要だ」と主張。これに対して野党が「辞任しても提出すべし」と対立。その後、衆議院を全会一致で可決し参議院へ。参議院でも提出を求めながらも新大臣に対する法案審査が続きました。しかし、11月21日(金)の衆議院解散で廃案になりました。これを解散直後の公明新聞が民主党筆頭理事を名指しで批判する記事を載せました。公明党は今春の統一地方選で「公明党の実績」をアピールする中で、この法案だけ成立していない状況になりました。そして、ようやくきょう委員会で可決し、次の本会議で成立することになります。
内容は、対象に、創業10年未満のベンチャーも加えるといった改正案です。
なお、共産党の1期生、藤野保史さんが「中小企業庁がつくった発注事例集は参考になる」と語り、共産党の地方議会での強さを感じさせる面がありました。自公共3党に共通するでしょうが、それを削ぎ落す改革政党となると、民主党なのか。あるいはこの分野は維新の党もいます。民主党が組織が強くなっていく中でどこまで「生活者の党」と「改革者の党」を両立させることができるか、考えざるを得ない、共産党1期生の発言でした。
【同日 衆議院内閣委員会】
「内閣官房および内閣府をスリム化する国家行政組織法改正案」(189閣法54号)が審査されました。個人的には十数年来興味を持っているテーマです。国会による役所の可視化があり、1名の議員の質疑に、14名の政府参考人が出席する場面もありました。委員長が「これは最高記録ではないか。考え直した方がいいよ、座っていただけの人もいた」とつぶやく場面がありました。
●内閣官房・内閣府の行政を国会が可視化
[画像]「内閣府・内閣官房スリム化法案」で説明する、大量の政府参考人たち、2015年7月1日、衆議院内閣委員会、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
政府参考人の答弁では、内閣官房と省の併任辞令について「常駐の併任者と非常駐の併任者がおり、非常駐の併任者は普段は親元の省庁にいます」という答弁が平然とされました。
維新の党の高井崇志さんは「内閣官房のIT総合戦略室は63名しかいない。ITは各省横串(総合調整)なので、人が足りない。私は郵政省出身だが、総務省に対して100名以上出向させたらいい、と言っている」と語る場面がありました。
それはさておき、この法案の審査では、内閣府政務官経験のある、泉健太さん、津村啓介さん、財務政務官だった古本伸一郎さんらの質疑が具体的でした。これは政権交代ある二大政党政治が定着していなかった、2009年以前ではありえなかったことです。とくに津村さんは下野後の内閣委で、現在、本府ビル、4号館、5号館、新8号館、各民間ビルに入居していることと行政機能に関してずっと質問しています。このことを有権者はほとんど気にせず、政策論と遠いと吐き捨てる人もいますが、私は組織と建物の関係はまさに行政の本質をついた議論だと考えています。
なお、議題とは別に、自民党が第47回総選挙で「ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げ」を公約していることについて、小泉進次郎内閣府政務官が「経済の活力の再生の主役は民間であり、金融機関のみなさんの声は傾聴に値する」と語り、ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げに賛同する意向を明示しました。小泉純一郎首相の郵政改革で、つぶされかけたゆうちょ銀行ですが、地盤を世襲した小泉進次郎議員は営業内容の拡大(回復)に賛同するということになりそうです。負けたのは、小泉劇場におどらされた、政治の話はテレビとだけでつながっている有権者ということになりました。
【同日 衆議院我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】
「2015年日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインを国内実施する安保法制再整備法案」(189閣法72号189閣法73号)の参考人質疑2回目がありました。1回目の学者中心に対して、2回目は「実務者中心」(自民党の岩屋毅さん)。
1回目の参考人質疑のさい、浜田靖一特別委員長(自民党)は「必要ならば2度、3度とやっていきたい」と語り、3回以上の開催の可能性に言及していました。
午後から法案審査。
質疑が一巡後、委員長が「この際暫時休憩します」としたまま開かれず散会しました。
採決の前提となる公聴会などの日程をめぐった対応だと思われます。
安保法案は、再来週に前後して、衆議院で緊張した局面を迎えそうです。
【同日 衆議院厚生労働委員会】
延長国会初の開催。渡辺博道委員長のコルセットがとれました。
まず一般質疑。その後、法案は入らず、散会しました。次回はあさって金曜日の午前9時開催。趣旨説明が注目されますが、参議院で可決した法案を先に審議するのは当然のことでしょう。
【同日 衆議院法務委員会】
「刑事訴訟法改正案」(189閣法41号)の参考人質疑3回目がありました。その後、散会しました。
●可視化拡大など、民主党が修正案的な対案を議員立法で提出へ、案発表
民主党の山尾志桜里筆頭理事は、前日の民主党の政策決定機関「次の内閣(NC)」の後、記者会見し、修正案的な議員立法が了承されたとしました。内容は、取り調べ過程の録音録画の裁判証拠採用、いわゆる可視化について、被疑者が希望する場合は全員できるようにする努力義務規定をくわえ、通信傍受の拡大と、いわゆる司法取引の新設という今次改正の、2番目、3番目は行わないとする内容です。民主党の修正案的な対案の議員立法は、民主党ニュースに載っていますので、ご参照ください。
以上
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