宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「3・11」で国難を軽減した無名の英雄、徳山日出男さんが国土交通事務次官に昇格へ、の報道

2015年07月11日 15時59分01秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]国土交通事務次官昇格が内定した、徳山日出男さん、2013年10月9日の参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 東日本大震災の東北地方整備局長として「櫛の歯作戦」を立案実行し、自衛隊の輸送路を確保することで、東京電力福島第一原子力発電所爆発という未曽有の国難による被害を軽減した、

 徳山日出男さん(昭和54年建設省技官)が、今月末に国土交通事務次官に昇格する人事が内定したようです。

 11日付読売新聞など各メディアが報じました。

 事務次官は通常国会中には異動しない慣例がありますが、同省は、今週、「建築物の省エネ向上法」(平成27年法律53号)が公布されたことで、同省が今国会に提出した法案がすべて出来上がりました。このため、9月27日の閉会を待たずに、7月末で昇格させ、8月末の平成28年度概算要求の陣頭指揮にあたらせることを、太田昭宏大臣が判断したと考えられます。

 旧建設省では、事務系と技術系が交互に事務次官に昇格する慣例でしたが、橋本行革・中央省庁再編法施行にともない、建設省・運輸省・国土庁・北海道開発庁の4省庁合併後はこの慣例が崩れていました。技術系職員を統括する「技監」は、徳山さんの前2代は事務次官に昇格せずに退職しており、徳山さんは3代ぶりの技監から事務次官に昇格することになります。

 徳山さんの功績および事務次官昇格の可能性が高いことは、1年前のエントリーにもまとめているところです。 

 「前へ!東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録」(麻生幾著、新潮文庫)によると、3000人の職員を束ねる東北地方整備局長だった徳山さんは、本省道路局課長補佐として対応した阪神大震災とは違うと直感。3月11日夜、大畠章宏大臣とのテレビ会議で、「阪神淡路大震災とは違います。津波型大災害を想定すべきです」と報告し、大臣から「すべて任す。国の代表としてあらゆることをやってくれ!」と命令を受けます。そこで、徳山局長は部下に「みんな、聴いてくれ。無駄な動きは致命傷となる。内陸部の被害にいちいち対応すべきじゃない。重要な被災地を見誤る。目標は、太平洋沿岸部の都市だ。明日から、人命救助と救援のルートを確保するため、そこへ向かう道を、我々は啓開によって開ける。今からその準備を徹夜でやって欲しい。(夜が明けた)明日からが勝負だ」 と語りました。

 徳山さんの言葉のうち、「内陸部の被害にいちいち対応すべきでない」という言葉は、政治家はなかなか言えない言葉です。

 「啓開(けいかい)」 とは何とか車両が通れるようにすることを意味し、太平洋沿岸から国道4号へとつながる道路を同時に啓開する「櫛の歯作戦」を部下のアイディアも取り入れて立案、実施。これにより、陸上自衛隊が福島原発に向かうことができました。

 正直言って、私は民主党政権時代、各府省庁など行政府の動きは、民主党国会議員である政務三役も含めて、予想外に把握できませんでした。岡田さんが2012年1月に再入閣してくれて、内閣府の行政改革担当と社会保障と税の一体改革担当が少し見えてきた程度です。

 霧の中ですが、どうやら民主党政権も、官僚と喧嘩ばかりしていた者だけではないようです。 

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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「TPP国会」早ければ第190回国会か、与党幹事長が言及、条約承認後に全省庁が国内実施法案提出の備え

2015年07月11日 15時39分19秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 自民党の谷垣幹事長は、党地方組織の会合で、

 「秋の臨時国会では、おそらくTPPなどを議論しなければならない」

 と語り、第190回秋の臨時国会が「TPP国会」になる可能性に言及しました。

 これは、平成27年2015年7月11日(日)の発言で、NHKニュースが報じました。

 環太平洋の貿易を自由化する、TPP環太平洋パートナーシップ関税協定条約は、現在各国の交渉中で、近く妥結する見通しが浮上しています。

 日本国憲法第73条は内閣の職務として「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を得ることを必要とする」とあります。

 このため、TPP条約は、国会に提出され、衆議院外務委員会に付託され、多数決で承認を得ないと、発効しません。

 TPPは、政府調達、知的財産権など、日本国内の法律改正を必要とするものも多くあります。すでに法務省にはTPPの国内実施法案を準備するセクションが設けられています。内閣官房がとりまとめている資料によると、TPP交渉の情報集めには、国内のほぼ全省庁(防衛省、警察庁、消費者庁をのぞくそれ以外の全省庁)が参加しています。そのほとんどの省庁が、TPP国内実施法案を執筆し、内閣の決定をへて、国会に提出し、審査を受けなければならなくあると考えられます。

 そのため、一回次ではとうていおさまらない、膨大な「TPP国会」が続くとの観測が与野党に浮上しています。

 TPP条約本体の承認の件が、まず衆議院外務委員会で審議されるのが順になると考えられますが、条約のプログラムにしたがい、発効前から調整が必要な国内実施法案が多いと考えられます。同時に、どのような関税率であれ、内需が壊滅すると思われる養豚業などの転業支援の法案も、条約本体とは別に用意すべきでしょう。

 TPPをきっかけに、日本の閉鎖性が打破され、「第三の開国」がされることを強く望みます。

このエントリー記事の本文は以上です。

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