宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

公明党の「民主党も対案を出せ」との要求を完全拒否 岡田克也さん、安保2法案で突き放す【追記有】

2015年07月24日 22時13分15秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 民主党代表の岡田克也さんは、平成27年2015年7月24日(金)、党本部で定例記者会見を開きました=写真、筆者(宮崎信行)撮影。

 2015年日米ガイドライン国内実施の安全保障2法案(189閣法72号、189閣法73号)がこの前の週に衆議院で強行採決され、この日の昼の参議院本会議で国会が正常化しました。

 この間、公明党幹部から、民主党に対して「対案を示してほしい」との見解が相次ぎ、参議院での修正協議に期待する呼び水がありました。

 井上義久幹事長は、先週金曜日の定例記者会見で、「野党第1党である民主党が具体的な案を示し、建設的な議論が行われることが望ましい」 

 北側一雄与党協議会副座長は、今週のNHK日曜討論で、「安保法制の議論は何度もあったが、その時の野党第1党とは安保環境の厳しさを共有し、(法案)修正の議論をした。今回、民主党とは、まったくない」「対案を法案として出すことが大事だ」と語りました。

 山口那津男代表(参議院=来夏改選)も、今週火曜日の定例記者会見で、「網羅的に触れられた論点を整理し、どうしたら国民に分かりやすく提供できるかという議論の姿勢があってもいいのではないか」「対案を出している政党、出していない政党の考え方やスタンス(立場)の違いも明確になる」と語りました。

 筆者が、山口代表や井上幹事長から岡田代表に対して、民主党が対案を出すべきだとの見解を直接伝えられたかと問うと、岡田さんは「ございません」と語りました。

 そして、「集団的自衛権は違憲だから、対案はない」と断じ、「公明党にそれを言っておきたいと思います」と語り、公明党が呼びかけた、参議院での修正協議を完全に拒みました。筆者の「なぜ公明党は衆議院採決後になってから、参議院段階での民主党との修正協議を呼びかけたのか」との質問に岡田さんは「私に聞かれても分かりません」と述べました。

 ここにいたる経緯として、「安倍首相は(昨年の国会で、集団的自衛権発動の)与党案が出たら説明します、と言っていたのに、与党案が出たらその日(昨年7月1日)のうちに閣議決定した。 アメリカに行く前も党首会談をすべきだったが、(4月29日に)いきなりアメリカで今夏までに成立させると言った」とし、「(安倍自民党は)野党と協議しようという姿勢が全くない」とし、「10本の束ね法案をばらして、PKO協力法(改正条文)や周辺事態法(の改正条文)ならば賛成できる部分もあった」としながらも、国会戦術上、最終局面で対案を出すことはあっても、公明党が呼びかけた修正協議には応じない考えを示しました。

 これにより、「平和と福祉の党」を標榜してきた公明党は、参議院での修正の道を絶たれ、自民党とともに「戦争加担の党」として、来夏の第24回参議院議員通常選挙で、地滑り的大敗で、国会議員団存亡の危機を迎える坂道を転げ落ちだしました。

【追記 2015年7月25日午前10時】

 このエントリー記事は公開以来、比較的多くの方にご覧いただいています。上記記事以外の岡田克也・民主党代表の主な発言を追加してお伝えします。

 「集団的自衛権の行使については我々は認めないという立場ですから、対案はあり得ない」

 「国民の8割が政府の説明が不十分だと言っているのだから、政府に説明させる」

 「議論が進んでいく中で、対案を出すことはあり得る」

 「(公明党が)対案とはどこの部分を言っているのか、集団的自衛権のことならば対案がないので、修正協議はありえない」

 以上です。

【追記終わり】

 このエントリー記事の本文は以上です。

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参議院でも安保特設置、参議院選挙制度改革は自民党案の「2合区、3倍超」が可決 きょうの国会

2015年07月24日 21時56分55秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]委員長に鴻池さんを推薦する動議をだし、野党筆頭理事についた、民主党の北澤俊美さん、2015年7月24日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【平成27年2015年7月24日(金) 参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 本会議で設置され、初会合が開かれました。

 最年長議員が議事をとり、民主党の北澤俊美さんの動議により、自民党の鴻池祥肇さんが委員長に就きました。

 鴻池委員長は、理事に、自民党の佐藤正久さんや石井準一さん、民主党の北澤俊美さん、福山哲郎さん、公明党の荒木清寛さん、維新の党の小野次郎さんを指名しました。これは共は理事はないんですね。

 45名委員会となり、定数は半分なのに、衆議院と同じ人数になりました。このため、審議時間も、おととし秋の臨時国会のNSC設置法などと同様に、衆議院と同じ100時間超の審議時間の確保を、参議院民主党のみならず、参議院自民党も認めるものと考えられます。

【同日 参議院本会議】

 まず、安保2法案(189閣法72号、189閣法73号)の審議のためとして、我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会の設置が採決され、共反対、自公民維の賛成多数で可決し、設置されました。

 次に参議院選挙制度改革について、

 溝手顕正さんら自民党など提出の「公職選挙法改正案」(189参法10号)と

 羽田雄一郎さんら民主党・公明党など提出の「公職選挙法改正案」(189参法11号)の両案が議題になりました。

 初めて「合区」をする案ですが、自民党案は2合区(4県)、民主党案は10合区(20県)とする案です。一票の格差は自民党案が3倍超、民主党案が2倍弱になります。

 趣旨説明の後、各党の議員が質疑しました。この中で、自民党の末松信介さんが質問演説で、「自民党は憲法を改正し、1県から1名以上選出するようにする」と語りました。私自身は、「衆議院は地域代表、参議院は職能代表」と考えており、参議院が県代表という考え方は今週の参議院自民党をめぐる一連の報道で初めて聞いたように感じました。

 この後、各党の反対討論、賛成討論があり、記名投票表決となりました。

 自民党案(189参法10号)は、投票総数234、賛成131、反対103で可決し、衆議院に送られました。

 一方、民主党案(189参法11号)は、山崎正昭議長が「議決を要しない」と宣言して、散会しました。

このエントリー記事は以上です。

  

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