【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

木内登英さん、佐藤健裕さん、日銀審議委員、民主党政権提案者全員去る、最後の会合でも異次元の金融緩和執行部案に2名のみ反対、特に木内さんは異論(年45兆円修正)を否決され続けながらも提案し続ける

2017年07月20日 16時56分29秒 | 人物

[写真]日本銀行、東京都中央区日本橋本石町、2016年、筆者・宮崎信行撮影。

 木内登英、佐藤健裕、両日本銀行審議委員が、5年間の任期を終えることになりました。木内さん、佐藤さんの在任期間は、平成24年2012年7月24日から、平成29年2017年7月23日(日)までで、きょう、最後の金融政策決定会合を終えました。

 これにより民主党政権下で同意された金融政策決定会合メンバーは全員、日銀を去りました。最後の決定会合で、黒田東彦総裁が提案に反対したのは、木内さん、佐藤さんの2名だけ。特に、「年80兆円ペースの維持」に反対したのは、木内審議委員ただ一人でした。

 木内さんは、2013年4月の異次元の「年50兆円」金融緩和スタートに賛成したものの、2014年11月の衆議院解散後の会合では、「年80兆円ペースへの拡大」には、反対。その後、毎回のように、「年45兆円ペースへの修正」の木内案を提案。1対8で、否決され続けました。黒田東彦総裁が提案する「年80兆円ペースの維持」や「日銀当座預金のマイナス年0・1%金利」には反対し続けました。

 最後の会合でも一人異論を出し、反対多数で否決されました。

 義を貫き通しました。


[画像]きょうの議事要旨の一部、日銀ホームページから。

 きのうきょう開かれた、最後の会合でも、「年45兆円ペースへの修正」を提案し、否決。ただ、日銀執行部は、この会合で、「2年で2倍で2%」すなわち「2013年から2015年までにマネタリーベースを2倍にして、物価(CPI)を2%にする」との目標を「2019年度にずれこませること」を決めざるを得ませんでした。

 野田佳彦内閣は、平成24年2012年の第180回通常国会で、他の人物の同意案を出しましたが、民主党賛成、自民党・公明党反対で否決されました。その後、「木内・佐藤案」は、民自公賛成、み共反対で、同意されました。

 木内さんと同じ日に就任した、佐藤健裕・審議委員も、きょうの会合で、反対票を投じました。

 これ以降は、すべて安倍内閣で、同意された、総裁・副総裁・審議委員となります。9名すべてがリフレ派となったことで、暴走機関車は、行き着くところまで行くしかないといったところです。正直、どうにもならないでしょう。

 木内さんは52歳ということで、私と同じ早稲田大学政治経済学部の卒業生です。よく「早稲田の政経」と言われ知名度も抜群ですが、残念ながら、公職で義を貫く人はあまりいません。しいていえば、今行われている横浜市長選で「横浜のドンがカジノに反対」と話題になっている、藤木幸夫・横浜港運協会会長らでしょうか。木内さんの今後の去就は分かりませんが、日銀の重々しい雰囲気の建物の中で、毎回反論を唱え続けた人物ということで、さらなる活躍の場があればいいし、そういう日本であってほしいと考えます。

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