宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【国会】代表質問1日目、第48回衆院選は「野党の混乱による敵失の勝利だ」と自民党政調会長

2017年11月20日 15時25分24秒 | 第195回特別国会(2017年10月~11月)第4次安倍内閣と野党3極

[写真]民進党事実上解党の数日前に、サングラスをしてはしゃぐ筆者・宮崎信行、今は民進党解党への抗議の思いのサングラスに見える。

 第48期衆議院がスタートしました。

 前日のNHK日曜討論は、自民党、公明党、民進党、立憲民主党、希望・・・という順でした。衆参の総議席数で判断するのが民意でしょう。

 民進党が事実上解党されてしまいました。慚愧に堪えません。抗議の意味で、サングラス姿の私の写真を載せてみました。前原誠司さんは、お父さんが住宅ローンの見通しが悪くて自殺したそうなので、見通しの悪さが遺伝したのでしょう。正直あまり気乗りはしませんが、10年前後で、野党3党連立で政権交代できるかもしれないと思いながら、インターネットで、2時間半の本会議をすべて視聴しました。

【衆議院本会議 平成29年2017年11月20日(月)】

 質疑時間については、前週の衆議院議院運営委員会で採決となり、立希無共反対、自公維の賛成多数で決定しました。

 前原さんと同じ民主の風の枝野幸男さんは、最大野党党首落選から最大野党党首というジェットコースターのような政治人生となりましたが、民主主義を愛する私のような国民には迷惑千万な話です。

 立民の枝野さんは代表質問で、立党の経緯について「このままでは受け皿が無い、選択肢が無いと言われ背中を押された」と説明し、「日本の政治を右でも左でもない、前へ」「現代は古いイデオロギーの時代では無い」と語りました。

 経済政策は民主党のものを踏襲している部分が多く、ブラック労働、ヘイトスピーチ、分厚い中間層の復活などに言及しました。可処分所得に直接国費を投入することで消費を底上げする、という考え方でした。相変わらず成長戦略への言及は無く、この辺は支持者からは言われないんでしょうかね。また、原発ゼロ基本法案を、次期通常国会に出したい、との意向を示しました。我が国は電源構成では、石炭火力発電が3割を超えており、さらに100件の新設が環境省で審査待ちです。ヒートアイランドをもたらし、パリ協定の達成を困難にする石炭火力発電を、石油火力、天然ガス火力に置き換えていくことが我が国に求められており、電源構成の5%に過ぎない原子力を、1%ではなく0%にするというのは、さほど意味が無い政策であり、時代遅れです。左翼リベラルは時代遅れに感じます。

 自民党の岸田文雄政調会長は「第48回衆院選で自民党は(465議席の61%にあたる)284議席をいただいた。勝利は敵失であり、野党の混乱にある。解散から2週間の間に、同じ政党に居た者が、排除する、排除されない、と言いつつ、再合流の話もあった。政策らしきものはあったが、公然と守らないと語る候補者があらわれた。総理と私は1993年初当選であり、中選挙区時代だった。小選挙区比例代表並立制は、政策を通じた政権選択をうながすものだった」と、旧民進党を批判しました。岸田さんは人づくり革命は、少子高齢化対策と人生百年時代を見据えたものであり、今生まれた子供が100歳になるまで持続する財政運営を求めました。また、宏池会初代会長の池田勇人さんの寛容と忍耐という言葉を紹介しました。この辺の、自民党内の派閥や財政論をめぐった、さや当ては、正直興味が無いといったところです。首相が代わる機会は、衆院選オンリーにしたい。

 希望の玉木雄一郎代表。きのうの時事放談に出演しましたが、きょねんの時事放談初出演で、「岡田克也代表の任期前倒し論」に言及。このときは、前倒しは阻止されましたが、けっきょく、代表が交代することになり野党分裂の引き金を引きました。前倒し論で、最大野党ではなく、野党第2党の代表に前倒しで就任した「前倒し王者」玉木さんですが、政治生命終焉まで前倒しにならないよう願うばかりです。

 玉木さんは「錆びたレールを磨くよりも、未開の荒野に新しいレールを引きたい」とし、宏池会第2代会長の大平正芳さんの「楕円の哲学による穏健な保守」を強調しました。玉木さんは「総理はそろそろ、アベノミクスの負の側面にも目を向けるべきだ」と語り、アベノミクスが成功していることを認めました。これは、旧民進党からの転換であり、野党分裂の怪我の功名です。「本当に困っている人は認可外保育所を使っている」とし、保育所の無償化での認可外への波及を求めました。主食用米の飼料用米への転作では「飼料用米の補助金により、業務用米が足りなくなるなど、市場がゆがんでいる」とし、JAを行政目的に使わないよう求めました。

 きょうはここまでで終わりました。

【参議院 同日】

 審議はありませんでした。

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Miyazaki Nobuyuki 


厚労省「廃案4法案」うち「旅館業法改正案」のみ再提出 第195回特別国会 水道法改正案は来年か?

2017年11月20日 10時29分02秒 | 第195回特別国会(2017年10月~11月)第4次安倍内閣と野党3極

[写真]厚生労働省、2015年7月、筆者・宮崎信行撮影。

 「旅館業法改正案」(195閣法7号)が、先週金曜日(平成29年2017年11月17日)に提出されました。

 これは先の通常国会に提出した「旅館業法改正案」(193閣法50号)と同内容。193閣法50号は、3月7日(火)に提出され、審議されないまま、6月9日(金)に「継続審議」が自公民共維の全会一致で決定。その次の臨時国会では、冒頭解散となり、完全に廃案となっていました。この法案は(1)旅館・ホテル業と業態を1つにまとめる(2)違法民泊の罰金引き上げ(3)暴排条項を追加ーーの3点で、今回の法案は同内容のもので、実質「再提出」といえます。

 先の通常国会で成立した「住宅宿泊事業法」(民泊新法)は、来年、平成30年2018年6月15日(金)に施行すると、ライバルの国土交通省及び観光庁はすでに政令を閣議決定・官報告示しています。

 これを追いかける格好で、厚労省・警察庁などが法案提出前の交渉で難航した、旅館業法改正案の早期成立を図ることになります。今国会は、来月9日までの残り3週間ですが、成立する公算が高いとみられます。

 一方、同じく、通常国会で「閉会中審査」(当ブログの表現は通例「審議未了廃案」)となりながら、臨時国会召集日に解散となり、法律用語上も「廃案」となった、厚労省執筆の他の3法案。「労働基準法改正案いわゆる残業代ゼロ法案」(189閣法69号、おととし27年4月3日金提出)、「水道法改正案」(193閣法49号)、「精神保健福祉法改正案」(193閣法34号参先議)の扱い。おそらく、残業代ゼロ法案は「働き方改革関連法案」に盛り込まれ、与野党対決となるでしょう。水道法改正案も、既に、宮城県内の企業団や、奈良市水道局が期待していますので、再提出され、新自由主義反対派との国会内外での闘争が予想されます。一方、精神保健福祉法改正案は問題点も多く、省としてもやまゆり園事件で立法事実として出さざるを得なかった面もありますから、今次改正法案の再提出はないかもしれません。

 来年の通常国会では、生活保護法改正案もありますので、働き方改革関連法案と、相変わらず厚生労働委員会が与野党対決型になることはさけられそうもありません。ここ、十数年間、与野党が激突を繰り返してきたる厚労委員会は、理事会の前さばきは別として、委員会はようやく落ち着きつつありますので、そろそろ、与野党がじっくり審議する方向性になってほしいものです。

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[労働者派遣法2015年改悪法の執行状況]パソナは万歳ナント利益131倍、零細派遣は数が12%減、パソナ独走状態へ

2017年11月20日 09時58分14秒 | 法律の執行状況

[画像]労働者派遣法2015年改悪法を強行採決する自民党議員に必死の抵抗を見せる、民進党・新緑風会議員たち、2015年に、参議院インターネット審議中継から、宮崎信行がスクリーンショットした画像の再使用。

 労働者派遣法2015年改悪法のあんこの2つ目、特定派遣業の届け出制から許可制への変更ーーの効果が高まってきたようです。

 日経新聞(2017年11月20日付)によると、厚労省は改悪法による許可制の条件として派遣元業者に(1)20平方メートル(6坪)以上の事務所(2)資産から負債を引いた基準資産が3000万円以上(3)1500万円以上の現預金ーーがないと、認めないことにしました。

 このため、改悪法成立時に、7万社あった労働者派遣会社(マネキン紹介所)が、2年間で5・5万社に減ったそうです。年換算で、派遣元業者は全国で12%減ったことになります。もちろん悪質な口入れ屋が減ったのなら大歓迎ではありますが。

 一方、大手のパソナは、同業者の廃業ラッシュの中、売上高を増やし、改悪法成立時の年商2260億円から年商2800億円へと、年平均16%増収となりました。営業利益は、131倍になりました(笑)。年11倍のペースで、営業利益率は16%と、サービス業としては高水準、メーカー並みの利益率を記録しました。

 2年経って、派遣会社に登録している人は、納得して登録している人が増え、不本意派遣は減っているのではないか、と統計はありませんが、筆者・宮崎信行は見ています。大手のパソナに登録して、いい会社に長期間派遣されていれば、転勤もなく、いいのではないか、という人の方が、現実には多いでしょう。但し、何よりも問題なのは、そうやって、働く人の平均の実質賃金が押し下げるということ。それだけです。

 パソナの政治力は、2009年から2012年まで、大量の自民党落選者に、月1回の研修で講演料50万円を約束していたことによります。これは、政治資金収支報告書に載らない工作資金です。このやり方は、初当選以来連続当選していて、自他ともに高潔で志が高い議員でも「自分が落選したときに、そうやってくれたら、正直、ありがたいよな」というやり方でした。

 この2年間に失われた賃金は、どうやっても取り返せません。自民党は、その後、参院選にも、衆院選にも勝ちました。そして、肝心の連合は、発足以来、最低最悪の会長である、神津会長のもと、支持政党が3分裂の股裂きとなりました。

 この大きな流れは止められませんが、せめて、奨学金を返せなくて、自衛隊に入って、地球の裏側で死んでいく若者が増えないことを望むばかりです。もちろん、風俗で働いていて、結婚できない男女も、そりゃどんな好景気でも一定数そういう人はいますが、あまり増えないよう、望むばかりです。

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