【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[改正鉄道機構法&前年度2次補正の施行状況]JR東海リニア中央新幹線の名古屋非常口で談合か

2017年12月10日 17時21分23秒 | 法律の執行状況

[写真]2017年12月10日付朝日新聞1面、宮崎信行撮影。

 JR東海が発注した、「JRリニア中央新幹線」の、工事で不正があったとして、東京地方検察庁特捜部が大林組を捜索しました。

 これは、JRリニア中央新幹線で、名古屋駅近くの、県警と市役所の間の非常口をめぐる入札で、大林組などが不正をしたのではないかという疑惑です。

 JRリニア中央新幹線の建設では、改正鉄道機構法にもとづき、昨年度第2次補正予算と、今年度予算で、3兆円が鉄道機構を通じて、JR東海に融資されました。この金額は、同時期の、政府から国民生活金融公庫に対する財政投融資の総額と比べて、3分の2ぐらいのボリュームがあるお金を、1社に融資するもの。向こう40年間で、そのうち30年間は据え置きとなっており、「あげた」という感覚でもいいかもしれません。参院選に前後して提示された新・成長戦略の政策パッケージでは、東京ー名古屋間の開業を9年前倒すと強調。これは、東京名古屋の東海道新幹線輸送客×1・1万円×9年=3兆円なので正しい数字と思われます。

 国会内での審議では、東海ブロック選出の本村伸子衆議院議員(共産党)が麻生太郎副総理・財務大臣(衆議院、自民党)が「40年後まで生きていて見届けろ」と迫りました。正しい認識だと考えます。

 もちろん、今回の話は、JR東海や鉄道機構側から積極的に告発したものかもしれませんし、3兆円の「国益」を粋に来た頼りがいのある検察官が取り組んでいるのかもしれません。ただ、数少ない浮上ポイントである名古屋駅周辺が、同線の開通の地権者の大多数を占めていることもあり、3兆円を無駄なく使わせることは、貸し手である政府の責任であり、金を出した以上は口も出していくべきです。JR東海に自由無し、というところまで、政府がかかわり、運賃値下げ圧力や、在来線存続圧力を向こう40年間かけ続けるべし。


[画像]平成28年度特別会計のうち、第2次補正予算書での補正後の財投計画、宮崎信行がキャプチャ。


[画像]平成29年度予算書の財投計画、上とあわせて、鉄道機構からJR東日本へ3兆円。

 なおこれとは別に、きょうの朝日新聞の第2社会面に、スーパーコンピューターの補助金水増し請求・受給の疑惑で逮捕されている、スーパーコンピューター会社社長の案件で、政治ジャーナリストの山口敬之さんが、同社から家賃の肩代わりを受けていた、との記事が載っています。これは私も既に知っていた話で、衆議院議院会館裏の、キャピトル東京ホテルに事務所を持っているということで、以前からその資金源は詮索されていました。伊藤詩織さんへのレイプ疑惑とその逮捕状の官邸関係者からの圧力での執行停止の話がくすぶっています。私は、「警視庁が公正中立なのが当たり前」という山口批判の風潮に嫌気して発言してきませんでしたが、とはいえ、山口さんに対して同情する気持ちはもともとありませんから、家賃の件と伊藤さんの件をていねいに説明してほしいところです。刑事は難しくても、社会的な地位は失墜が目の前でしょう。


[写真]きょう付け朝日新聞第2社会面、宮崎信行撮影。

 さて、話は戻って、JR東海3兆円融資に関して、過去の記事を貼り付けておきます。衆議院共産党は先々月の選挙後人事をやったようで、本村伸子さんは国土交通委員から総務委員に異動したようです。ぜひ、この件では、JR東海が疑われないようしっかりやってほしいところです。

[当ブログ内エントリから抜粋引用はじめ]

本村伸子さん、JR東海への40年間の財投で「麻生大臣、生きていて責任をとってください」、補正衆通過[きょうの国会]

(前略)

 締めくくり質疑では、共産党比例東海1位の1期生、本村伸子さんが質疑。強く反対し、「リニアへの負の影響はないのか」と安倍首相にただしましたが、首相は「大阪までの全線開通を最大8年間前倒しできる」と答弁しました。麻生財務相が「私はその頃100歳を過ぎている」と答弁すると、本村さんは「生きていてください。生きていて責任をとってください」と発言しました。

(後略)

[当ブログ内エントリから抜粋引用おわり]

[当ブログ内エントリから抜粋引用はじめ]


財投2法が成立JR東海1・5兆円鉄道機構法と改正JOGMEC法、参議院自民党「熟慮の府」と長時間議論を宣言[きょうの国会]


(前略)
 「改正独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法」が投票総数239、賛成217、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。公布日に施行。審議中の議案番号は192閣法2号でした。

 ともに、財投機関債などの発行で調達したマネーを、JR東海、海外石油資源開発会社などに融資や、投資することができる法律。鉄道機構法は政府は第2次補正予算と同時に成立させてほしいと希望しましたが、1カ月遅れとなりました。補正の1・5兆円を、JR東海に融資し、政府は30年後から40年後にかけて返済を受けます。


(後略)

[当ブログ内エントリから抜粋引用おわり]
[当ブログ内エントリから全文引用はじめ]


政府、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改正案を2016年秋の臨時国会に提出

2016年09月06日 13時05分50秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]国土交通省、東京都千代田区霞が関、2015年秋、筆者・宮崎信行撮影。

 政府は「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改正案」を、平成28年2016年9月26日(月)召集の「第192回国会」に提出することを決めました。

 法律のホームページ

 機構のホームページ

 これは召集当日に提出する予定の「平成28年度第2次補正予算案」で、JR東海への1・5兆円の融資を、鉄道・運輸機構(旧鉄建公団)の財投機関債を活用した財政投融資で行うための、予算関連法案。

 8月2日にとりまとめた、「未来への投資を実現する経済対策」で、「事業規模28兆円」のうち、リニア新幹線の名古屋・大阪間を6年前倒すために、総額3兆円(来年度当初予算案での手当て含む)を超低金利で融資するもの。

 この背景には、国庫の一般会計がひっ迫する中、官僚が長期融資で、長期的な政策を実現したいとする、ここ3年ほどの動きが見て取れます。

 ちなみに、6年前倒すとどうなるか。計算してみました。この場合、乗客1人当たりの運賃のうち2500円を6年間返済すればいいことになります。ただ、東海道新幹線をどうするのか、JR東海の自前の資金を考えると、必ずしも安いものではないように考えます。運賃への上乗せや、後年度の税金での処理などもありうる計算になると思います。ところで、計算の過程で知りましたが、JR東海の大阪(新大阪)駅、の乗降客は、名古屋駅、京都駅より少ないんですね。 

 法案は、衆参国土交通委員会に付託されると思われますが、同委員会は、羽田雄一郎国土交通大臣就任後、太田昭宏大臣、石井啓一大臣が、卒のない安定した答弁を続けており、法案の成立は確実のように思います。ただ、リニアが開業したら、在来線をより手軽にして、東京ー大阪直通列車の再開などを期待したいところです。法案の採決よりも、議事録が、将来参照されることになりそうな気配です。

 第192回国会の衆議院国土交通委員長は谷公一さん、参議院国土交通委員長は増子輝彦さんとなっています。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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