[画像]2011年野党当時の吉野正芳さん、当ブログ内「既成政党おわびの夏 自民党・吉野さん「原発、わが党は真摯に反省」」から。
吉野正芳復興大臣(自民党、衆福島5区)は、「来年の2月22日が期限でございます」「絶対、通常国会で法案を通さなければならない」と述べて、
「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法」(平成二十三年法律第百十三号)の延長法案の、第196回通常国会冒頭での提出・成立に期待を示しました。
これは、今月1日の閣議後記者会見で、会期末が迫った第195回特別国会での法案成立が不可能な情勢に追い込まれたことについて、記者から問われて、吉野大臣が答えたものです。
ただ、このようなサンセット条項(失効日が法律内にある)が盛り込まれ、政府の毎年の予算歳出を裏打ちさせる法案が「2月22日」に失効日(日切れ)を迎えるのは稀。通常国会は慣例として、予算案→政府提出法案(閣法)→議員立法の順で審議されることになっています。第196回通常国会は冒頭に補正予算案が提出され、その際に、予算案や地方交付税法の改正法案が提出・審議・成立する流れが予想されますが、この流れに、与党が議員立法を挿入しないと、2018年2月22日で失効することも考えられそうです。
吉野大臣の記者会見の当該部分は次の通り。
[復興庁ホームページから引用はじめ]
(問)二重ローンの支援期間の再延長の法案なんですけれども、与党の方では今特別国会での提出を断念という報道もありますけど、どのような受け止めで今いらっしゃいますか。
(答)今国会で与党がきちんと合意をし、野党の方々も一部だと思いますけど、合意をされていたものですから、今国会でできるのかなというふうに思っておりました。
でも、これは国会の事情で、今国会はやらないということでございますので、来年の2月22日が期限でございます。切れ目のない復興という形で、この日までには絶対、通常国会で法案を通さなければならないわけでありまして、国会のことでございますけど、私も陰ながらバックアップをしていきたい、このように思います。
[復興庁ホームページから引用おわり]
この二重ローン救済法はいわくつきでした。2011年の通常国会は、もともと、前年夏の参院選で生じた衆参ねじれを受けて、予算案以外の法案成立が危ぶまれる状態で、岡田克也幹事長・安住淳国対委員長・玄葉光一郎政調会長大臣の与党3役はのぞみました。予算は通過させた後、法案である特例公債法案・子ども手当法案などを野党自民党がえげつなく吊るし中、大震災という「天祐」に恵まれました。なぜか共産党さんが助けてくれ、子ども手当法が3月31日に成立しました。しかし、震災がいつまでも「天祐」なわけがありません。この後、参議院自民党や、公明党らが、議員立法を乱発する作戦に出ました。この二重ローン救済法は、参議院野党自民党の片山さつきさんが骨子を作り銀行業界に働き掛けシンポジウムまで開催して「与党・民主党の妨害で成立しない」とプロパガンダ。訳の分からない大混乱作戦も、臨時国会で与党・民主党も賛同して修正する格好で、衆参与野党で成立しましたが、片山さんはお望み通り与党に返り咲きましたが、同性の後輩議員に抜かれて、いまだに大臣にはなれていないようです。今でも腹立たしい!
一方、震災国会で、党派を超えて尊敬を集めた吉野さんは、6年経って、復興大臣をやっています。前任者の失言により急きょリリーフしましたが、翌日のニュース7で、福島で、駅前のタクシー運転手さんたちから「吉野さん、がんばれよ!」「がんばるけんね!」と声をかけあう姿が報じられました。
この法案は特別国会中に、与党公明党の機関紙などでも、調整がうまくいっているという趣旨に報道がありましたが、会期の設定が急だったこともあってか、提出にいたりませんでした。野党の一部では反対論もあるようで、来月の通常国会冒頭から2月中旬にかけて、提出前のかけひきが続くことになりそうです。こういうのは、新聞報道に期待したいところです。
このエントリーの本文記事は以上です。
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Miyazaki Nobuyuki