[画像]厚生労働省地下倉庫に突入した菅直人さん、2007年放送のTBS(CSチャンネルTBSニュースバード)放送画面から当時2007年にキャプチャ。
ミドリ十字などが製造した「フィブリノーゲン」または「フィブリノゲン」製剤の薬害で、C型肝炎になった28万人のうち、1000人前後に、まだ救済金が支給されていない公算が高まりました。
これは、きょう、平成29年2017年12月7日(木)の参議院厚生労働委員会で、C型肝炎被害者救済法を5年延長する法律案(あす成立のはこび)の審議で明らかになりました。政府は、「フィブリノゲンは、28万人に投与され、1万人が感染し、そのうち、9083人に連絡した」と答えました。残り1000人程度の人が被害に気付けば、救済金がもらえる期間が、もう5年延長されます。
政府が公式に認めてから10年。
きょうの、政府の答弁者は、厚生労働省医薬・生活衛生局。私は局の名前にさといのですが、旧厚生省薬務局から2回以上名称が変わっています。当時の局長や医官などは、いまでは他界しました(刑事では無罪)。
10年前、参院選で大勝した民主党が、第168回臨時国会で、幹事長部局の対策本部をつくり、当時・トロイカとよばれた実力者、菅直人代表代行が本部長となり、厚生労働省地下倉庫などに突入。このときのメンバーが山井和則さん、柚木道義さんらで、その後、政権交代で、首相、政務官などをつとめました。
10年経って、野党は、財務省が書類を破棄していたと知って、いまさら成立するわけがない公文書管理法改正案を会期末に出していますから、ずいぶん偉くなったものだ、ということでしょう。別の案件では、さいたま新都心の国土交通省出先機関の5階から18階まで官僚を追いかけて階段を上った議員もいました。
菅さんが突撃してから、10年。新聞報道では、福田康夫首相の英断という歴史的評価になっていますが、当時の野党が、有権者と一緒の「本部」をつくり、与党を責めたということです。10年後の野党も「国対チーム」というのをやっていますが、これも役人を読んでいるだけですから、ずいぶん偉くなったというところでしょう。
ただ、こういう考え方をする人は少ないのですが、自民党の厚生族と厚生省が、もっと早く、政治力のあるミドリ十字の「犯罪」を認めていれば、もっと早く救済できた人がいたはずです。
以下は、10年前の当ブログ内記事です。
[当ブログ内記事から引用はじめ]

民主党肝炎総合対策推進本部長の菅直人さん(東京18区)、山井和則さん(京都6区)らが23日、厚労省の地下倉庫に“突撃”!
「元厚相だ」と名乗る菅さんを押しとどめる警備員。もみくちゃになる報道陣。菅さんが携帯電話で舛添大臣から立ち入りの許可を受けて、役人の案内で地下3階へ。
カメラを制する警備員。完全に厚労省は悪者。『水戸黄門』の悪代官状態です。
日本におけるテレ・ポリティックス(TVを利用した政治)の先駆け的な存在でもある菅さんのシナリオ通り。
活字メディアの世界にいる下町の太陽としても、この一部始終は、ぜひTVでご覧いただきたいと思います。
地下3階の倉庫で、段ボールが積まれている様子を視察。段ボールの中の文書は閲覧しなかったようです。
関連エントリー「お元気内閣」だけど・・・に引き続きネクスト副総理がやってくれました。
結局、何があったのか、まだよく分からないのですが、インパクトのある映像なのでアップしました。
(CSチャンネル「TBSニュースバード」から)
[当ブログ内記事から引用おわり]
[当ブログ内記事から引用はじめ]

○民主党の菅直人さん、山井和則さん、薬害C型肝炎で厚労省追求
下町の太陽はこの審議をずっと聞いていました。傍聴席には患者、ご家族、ご遺族がかなり詰めかけていたようです。
菅さんの追求に、舛添厚労大臣はタジタジ。そして厚生労働省医薬食品局長の体たらくにはあきれたのヒトコト。質問通告されたことに即座に答えられない役人など初めてみました。
下町の太陽はどうやら、きょうの審議を、“冷静”かつ“客観的”にまとめることができなさそうです。
そして、それがきょうの最大の感想ということです。
よって、よくまとまった新聞記事をご紹介させて頂きます。
なお、自民党の茂木敏光委員長の議事運営が公正中立であったことを付け加えておきます。
[当ブログ内記事から引用おわり]
[当ブログ内記事から引用はじめ]

民主党ネクスト厚労相の山田正彦さん(長崎3区比例)が舛添要一厚労相と対決。
ちょうど1週間前の菅直人さんの質問で出てきたミドリ十字の「フィブリノーゲン」が「フィブリノゲン」に製品名が変更された件を問い質しました。
(次のエントリーで第一報をお伝えしました)
10/24付エントリー【速報】菅さん「フィブリノーゲン→フィブリノゲンで承認延長」天下りの松下ミドリ十字社長
山田さんは冒頭、「きょうは30年前に話を戻します」と話して、薬害C型肝炎をもたらした血液製剤(血液凝固剤)の「フィブリノゲン」について集中的に質問しました。
ミドリ十字の製品「フィブリノーゲン」(1964年承認)が(といっても成分は同じです)「フィブリノゲン」(1976年承認)に製品名が変わった理由を問い質しました。
厚生省は1971年、「1967年以前に承認された前医薬品の再評価制度」を導入しました。その過程で、同製剤は「新規承認薬とみなし、再評価の対象に入れなかった」としています。
の経緯について、厚労省の高橋医薬食品局長は「承認日をもって機械的、画一的に処理した」と答えました。
舛添厚労相は「名前がちょこっと変わっただけで、再評価をやらなかったのは疑問だ」と答弁しました。
なお、菅さんは24日の厚労委で旧ミドリ十字松下康蔵元社長らの参考人質疑を要求しています。
(このエントリーは10月31日付朝日新聞夕刊15面「変更理由に再評価除外」の記事を参考に作成しました)
[当ブログ内記事から引用おわり]
[当ブログ内記事から引用はじめ]

福田首相「一律救済」決断=議員立法で対応、今国会成立目指す-薬害C型肝炎 (時事通信) - goo ニュース
福田康夫首相は23日、薬害C型肝炎の被害者について「全員一律救済ということで、議員立法とすることを党との相談の結果、決めた」と表明した。与党はそのための法案を今国会に提出、成立を目指す。民主党など野党にも協力を呼び掛ける。一律救済を求める薬害肝炎訴訟の原告側の主張を踏まえ、首相が血液製剤の投与時期などで救済対象を決める政府方針を転換した。これに対し、肝炎訴訟の原告弁護団は「大きな一歩だ」と評価する一方、内容が明確でないとして、首相に対し被害者らと面談し実情を聞くよう重ねて訴えた。
首相は、大阪高裁和解骨子案を踏み出して、原告側の要望に応えるには行政府としては限界があることから、自民党総裁として決断した。最近の内閣支持率の急落を受け、指導力を示す必要があると判断したとみられる。自民、公明両党は25日に幹事長ら党幹部が法案の内容を協議する。肝炎訴訟は提訴から5年を経て、全面解決に向けて大きな転機を迎えた。
(写真は共同通信)
[当ブログ内記事から引用おわり]
[当ブログ内記事から引用はじめ]
写真は福田衣里子さん=『It's now or never 私は早く、C型肝炎とさよならしたい!』福田衣里子著、書肆侃侃房
【国会傍聴記 参院本会議 2008-1-11】
「薬害C型肝炎被害者一律救済法」は全会一致で可決、成立しました。
【国会傍聴記 衆院厚生労働委 2008-1-8】
自民党、公明党が議員立法で「薬害肝炎被害者救済特別措置法案」を提出しました(昨日付)。さっそく審議入りです。
「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法案」です。
薬害肝炎の被害者全員に治療費などを国が負担する法案です。
自民党(LDP)の大村秀章さんら法案提出者らが内容を説明。
原告団全国代表の山口美智子さんらから意見を聞きました。
舛添要一厚労相ら政府とのやり取りの中で、民主党(DPJ)の山田正彦ネクスト厚労相(弁護士)が
「血液凝固製剤投与に関して、状況証拠だけでも被害者認定されるのか?」
と質問。
法務省民事局長は「母子手帳に『出血があった』との記述がある」といった場合に、「その医院の院長がなくなっていて2代目・3代目の医師が継いでいる」といった例を挙げて説明。
母子手帳に記載のある受診時期に、A医院がフィブリノゲン、クリスマシンなどを常備していた記録があるといった場合では、状況証拠だけでも被害者として認められるのではないかという認識を示しました。あくまでも「裁判所の判断」のうえだとしました。
山田ネクスト厚労相は弁護士としての経験も踏まえ、一律救済法成立により、これから裁判に加わる人を念頭に
「訴訟を起こすのに、着手金など費用がかさむ」との問題も指摘しました。
河井克行法務副大臣(LDP)は、
「法テラスなどを活用して欲しい」と述べました。たいへん無責任な誠実さを欠いた答弁で極めて残念です。
採決の結果、同法案は委員会共同提出という格好になり、午後の衆院本会議に緊急上程されました。
【国会傍聴記 2008-1-8 衆院本会議】
午後1時4分開会。
河野洋平衆院議長の「あけましておめでとうございます」のことばで始まりました。
議事進行係が「薬害肝炎被害者救済法案」の委員会審議を省き、本会議で審議するよう提案(緊急上程)しました。
茂木敏光厚生労働委員長が趣旨弁明。最後に被害者の方に対するおわびの言葉がありました。しかし、これは委員長としての言葉であって、政府としてのおわびの言葉ではありません。
法案は全会一致で可決。
午後1時10分閉会しました。
【金曜日の参院本会議で可決、成立へ】
金曜日の参院本会議で法案は可決、成立します。
【ちょっと気になるので・・・かわいい福田衣里子さんのこと】
福田衣里子(ふくだ・えりこ)さんの本で、彼女のことがだいぶ知りました。
衣里子さんは1980年長崎市生まれ。
父親の仕事の関係で幼稚園からロンドンに。
父親は衣里子さんをほぼ毎週末、欧州各国に連れて行ったという。
4歳半で帰国、長崎に。
――4歳半の頃、帰国した。大きな世界の存在を教えられ、小さい町へと押し込められた。それが私の中で、無意識ではあるが、常にある大きな不満となった(前掲書、9ページ)
長崎西高校卒業。
広島修道大学人文学部心理学専攻に進学。
――19歳、大学を1年で休学し、旅に出た。
大学を卒業してからでもよかった。なんで、せっかく合格した大学を休学してまで、行かなければならなかったのか。その時、理由は全くわからないけど、今行かないといけないと強く思った。(略)
20歳、「C型肝炎ウィルスに感染して、20年経過しています」と言われた。
あんなにも焦っていた意味が今だとよくわかる。(前掲書、はじめに)
2004年4月、実名公表。
今も長崎在住で、東京に通いながら活動されていたんですね。
衣里子さんの“It's now or never.”がこれで、
“It's now.”になったんなら良いね。
【外部リンク】
Piquer ~Ennrico’s room - livedoor Blog(ブログ)
福田衣里子さんのブログ~薬害C型肝炎と闘いながら、刺繍をしつつ楽しく生きる27歳。
[当ブログ内記事から引用おわり]
このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。
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