私が若かった’80年代。最も好きなクルマのスタイルは「2ドアハードトップ」であった。
スカイラインやブルーバードも好きだったが、最も美しいと思ったのは、このクルマである。
1987年2月に登場した、ホンダ・レジェンド・2ドアハードトップ。流麗で、気品に満ちていた。
この当時のホンダは、メッキモールの使い方が上手かった。
この頃2ドアのこのクラスのクルマでは、ソアラやレパードがあったが、私はこのレジェンドの方がずっと上質で、カッコいいと思っていた。
低めのウエストラインに、ブリスターフェンダー。なにか土着的だったトヨタ・日産の2車に対し、孤高のエレガンスを感じる。
ウォールナット&本革のインテリアが、これまたブリティッシュで素晴らしい。
ハードトップといいながらもセンターピラーを持っているので、厳密に言えば、これはクーペなのかもしれない。
だが、リヤウインドウが上下に開閉可能であることから、私はこのクルマをハードトップの一員として認定したい。
SOHCでありながらも、気筒あたり4バルブを持つV型6気筒24バルブエンジン。
あえてDOHCでなくSOHCとしたところが、人の裏をかくホンダらしい。インテグラは全車DOHCが当初の売りだったのに・・・
「4輪ダブルウィッシュボーンサス」と、「A.L.B」(現代でいうところのABS)は、当時のホンダの記号であった。
やはり、’80年代から国内他社に先駆けてABSを採用した当時のホンダは、偉かった。
この流麗なサイドシルエット。マッチョ過ぎない洗練された筋肉美を持つ、ロワーボディ。
3ナンバー専用ボディというのも、当時は画期的だったのだ。セダンのレジェンドには5ナンバー車も存在した時代なのだ。
現代ではインプレッサやアクセラも、3ナンバー専用ボディなのだが・・・
この当時のホンダ車のインテリアは、決して下品ではない、ツボを得た上質さを持っていた。
オーディオがカセットなのは、まあ、時代である。
ベージュも素敵なのだが、青みがかったグレーのインテリアも、渋くてまたよろしい。
電動格納式ドアミラー、クルーズコントロール、キーレスエントリー、後席3点式シートベルト・・・今では軽自動車にも付いているが、当時はプレミアムカーの記号的装備だった。
4ATで、10モード燃費が8.5km/L・・・その数字は、現代のクルマと較べれば相当見劣りするが、当時の2700ccエンジンのクルマとしては、決して悪くはなかった模様。
レジェンド・ハードトップの見逃せない特徴は、全車が「ツートーン・ボディカラー」だったことだ。
同社の「N-ONE」の登場で、ツートーンカラーは復権の予感がする。その企画がBMWミニにインスパイアされたであろうことは、想像に難くないが・・・
レジェンド・2ドア・ハードトップ。個人的には、BMW633CSiやプジョー406クーペと遜色ない、美しい2ドア車だと思う。
これの格安の中古に、乗っておけばよかったと、時々思う私のなのだ。