メルセデスのお店というのはどうも近寄りがたい感じがあって、今までは敬遠していた。
だがしかし、最近発売になったAクラスは、税込車両本体価格284万円からと、私でもなんとか購入できそうな価格である。加えてBクラスも、税込車両本体価格は299万円からと、300万円アンダーである。
この2台をどうしても見学したくなり、私は思いきって(株)シュテルン札幌に飛び込んだ。
ショールームには、AクラスもBクラスも展示されていたが、なんとなく気後れして、写真は撮れなかった。
なので、カタログから拝借した画像をはさみつつ、インプレッションを述べよう。
まずはAクラス。FFながらも、長めのノーズで、まるでFR車のようなプロポーション。
なにかコンセプトカー的な趣きだった先代までのAクラスとは、まったく異なるクルマになった。
掛け値なしに、カッコいい思う。まあ、グリルのスリーポインテッドスターには、そこはかとなく「威張り感」を感じるが・・・
インテリアの質感は、やはり高い。メッキの配し方等は派手で、やや「お水っぽさ」を感じるが・・・
トランスミッションシフトレバーはセンターコンソールには無く、ステアリング右コラム(日本車で言えばウインカーの位置)に取り付けられている。
スポーティーなハイバックシート。そのホールド感は悪くない。
だが、後席に座ると、それが目の前にそそり立ち、解放感をスポイルする。加えて、「身長165cmだが座高は高め」の私の場合、ヘッドクリアランスはほぼ無いに等しい。このクルマのリヤシートは、お子様向きといえましょう。
また、ラゲッジルームも必要最低限といった感じ。開口部が掃き出しでないこともあって、あまり使いやすくはなさそうだ。
続いて、Bクラス。エンジン・トランスミッション・ホイールベース等の基本コンポーネンツは、Aクラスと同一である。
だが、車高は10cm以上高い。そのおかげもあってか、リヤシートの居住性は、身長に比して座高の高い私でも、満足できるレベル。
加えて、ラゲッジはかなり広大である。Aクラス比で全長は75mm長いだけなのだが、ラゲッジルームは感覚的にはAクラスの倍以上はあるように思えた。加えて、開口部は掃き出しでフラット。重い荷物・・・たとえばビールケースの積み下ろしなどは、やりやすいであろう。
さて、Aクラスの試乗車があったので、遠慮がちなフリをしながら、嬉々として運転させていただいた。試乗車は「A180 ブルーエフィシェンシー」(7DCT:税込車両本体価格284万円)である。
積雪路面だったことは、むしろ幸いだったかもしれない。このクルマのスタビリティの高さを、まざまざと見せつけられた。FFでありながらも、私のレガシィ2.0iと遜色なく、いや、それ以上の安心感を持って、このクルマは走破した。デュアルクラッチの7DCTは、それがいつ変速したのか、まったく気付かせることなく、粛々と仕事をこなす。
ステアリングは、BMWほど「直進方向にずっしり座った感じ」ではない。だが、全てが鷹揚で、大人の振る舞いなのだ。懐が深いというか、奥深いというか・・・それでいて決して曖昧なフィールではないという、絶妙なチューニング。この辺が、メルセデスの味わいなのかもしれない。
試乗時。セールスマン氏から、「なるべくハンドルの下の方を持って運転してくださいネ」とお願いされた。なぜかと問うと、輸入車に慣れていない人が試乗した際に、ウインカーと間違えてシフトレバー(上の写真)を動かしてしまうという事故があったからだとのこと。最近私は「右ハンドル・左ウインカー」にかなり慣れたので、そのような事故は起こさなかったが・・・
思うに、近年のクルマのトランスミッション操作レバーは、あまりにも個性化し過ぎのような気がしないでもない。
とりあえず、メルセデスAクラスは、「ドライバーズカーとしては、とんでもなくいいクルマ」であった。だが、後席を常用するファミリーの場合は、Bクラスか、あるいは他のクルマを選ぶべきかもしれない。
また、現実にこれを買ってしまったとすると、「イバリの利いたフロントマスク」のために、ご近所さんから怪訝な視線を受けてしまいそうではある。やはり、ベンツという個性は、良くも悪くも際立っている。