尾車氏と私の自動車ディーラー巡りで、一番最後に俎上にあげたのが、この3代目アクセラだった。
試乗させていただいたのは、5ドアの「スポーツ 20S」(6AT:税込車両本体価格220万5000円)。
カタログ上のJC08モード燃費は19.0km/Lと、最新のモデルだけに、実に優秀である。
シンプルながらも、ハイブリッド車にも通じる、先進性を感じさせるメーターパネル。
グレードによっては、タコメーターが小さいのが、ちょっぴり残念。
とはいえ、インテリア全体の質感は、なかなか上々だ。
レッドステッチ入りの本革巻ステアリングも、汗っかきの私に嬉しいポイント。
2つのダイヤルとプッシュスイッチを組み合わせた空調の操作性も、なかなか私好み。
だがしかし、発進時。なぜかスロットルを踏んでも、不感帯があって加速しないような、もどかしさというか違和感を感じた。それが、電子制御スロットルのせいなのか、それともトランスミッションの制御のせいなのか、はたまたエンジンが暖まっていなかったからなのかは、謎である。
とはいえ、巡航スピードに乗ってしまえば、ハミングのように上下するエンジン音とともに、爽快なシフトチェンジで、キビキビとスポーティに走った。
自ら運転することが好きな人には、このクルマはいい選択肢となりうるであろう。
まるでラテン車のようにスタイリッシュな、5ドアハッチ。
ウエストラインが高めでウエッジシェイプなので、斜め後方視界には、やや難アリかもしれない。
とはいえ、血中欧州濃度の高いマツダ車ならではの、 気持ちイイ走りをするこのクルマ。間違いなく、スバル・インプレッサの、強敵である。
ハイブリッドやディーゼルをもラインアップに持つこのアクセラ。しかも、少数派の好事家のために、MT仕様も用意されているのだ!
「マツダ恐るべし」と、自称スバリストの私は、身震いしたのであった。
本年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、VWゴルフ。輸入車初の快挙とのこと。
日本人としては悔しいが、VWゴルフは、いつの時代も、クルマのメートル原器たる、規範的立ち位置に君臨していた。それは、動かしようのない事実なのだ。
そんな優等生ゴルフの「GTI」が、日本市場についに投入された。
220psの2リッターインタークーラー付ターボエンジンを横に積み、前輪を駆動する5ドアハッチバック。
トランスミッションは、VWが誇る6速DSG。JC08モード燃費は15.9Km/Lと、そのパフォーマンスを思えば、きわめて優秀。
税込車両本体価格は、369万円という、プレミアム5ドアハッチである。
この、チェック柄のシートが、「GTI」の記号というか、伝統なのだ。
随所に赤が散りばめられた、そのインテリア&エクステリア。
決して過度でないその演出が、オトナっぽさを感じさせる。
スタッドレスタイヤを履いていたせいか、そのステアリングフィールは、たとえばBMWのような「直進方向にずしっと据わった重さ」ではなかった。
とはいえ、その直進性は極めて秀逸で、電光石火のDSGとともに、絶大なる安心感で、伏古拓北通を突き進む。
気が付いたらかなりのスピードになっていて、ちょっとあわててしまう。頻繁にスピードメーターのチェックをしないと、免許証が何枚あっても足りなかろう。
加えて、「スペアタイヤ標準装備」という点に、このドイツメーカーの深い見識を感じる。
やっぱ、スペアタイヤは、必需品なのだ。「パンク修理セット搭載」で軽量化して燃費を稼ごうとするメーカーが大多数の現在。「パンクの憂き目にあって困窮した経験のあるユーザー」の目線に立ったVWの姿勢に、私は惜しみない拍手を送る。
ゴルフGTI。きわめて「いいクルマ」である。
だが、あまりにも大人びていて、弾けるようなワクワク感には、やや乏しいかも。
私がゴルフ7を買うなら、やはり、底辺モデルの「TSI Trendline」(税込車両本体価格249万円)となるであろう。
120万円の価格差は、やはり大きすぎる。 「TSI Trendline」を買って、120回フグを喰う。それが、私の選択だ。御免。