「ハ、ハチが、2階のバルコニーの四角いところに巣を作ってるの!大至急殺虫剤買ってきて!」と。
その切羽詰まった声のトーンから、私は、それはスズメバチに違いないと確信した。

そこで購入したのが、アース製薬の「ハチ・アブ マグナムジェット」(実売価格約1300円)である。なんでも10m先のハチの巣に狙いすまして噴射できるという、バズーカ砲方式の優れモノ。

この強力そうな製品の効力はいかがなものだろうかと、そしてハチの巣の状況はどうなっているのだろうと、私は期待と不安が交錯した気持ちで自宅に向かった。
帰宅し、「ハチはどこ?」と妻に訊くと、「あ、あれよ!窓からみえるでしょう!」と彼女は冷静さを失った声で答えた。そして窓に目をやると・・・

えっ、こ、これか・・・こりゃ、ミツバチよりもちっこいんでないかい?

いや、まあ、確かに網戸の隙間の「四角いところ」に巣が作られている。妻が電話で言っていたことは、嘘ではない。まぎれもない真実だ。だがしかし、私は、自分が想像していたモノとのギャップの大きさに、腰が砕けた。

そしてその部分に、「ハチ・アブ マグナムジェット」を、ぶわーっと吹き付けた。ああ、明らかに、オーバークオリティ・・・

そして、たちどころにそのハチの巣は、崩壊した。

この程度のモノなら、アースジェットの一番安いやつで十分だったのに。ラーメン1杯分、損したなァ・・・