『解説「地獄の黙示録」』

立花隆、2004、『解説「地獄の黙示録」』、文春文庫
コポッラの映画「地獄の黙示録」をレビューした本書は、2002年に出版された同タイトルの単行本を文庫化したものである。また、同時に映画「地獄の黙示録<特別完全版>」の完成を期して出版された。
主人公のカーツ大佐(マーロン・ブランド)は米軍の指揮官の一人でありながら、指揮系統をはずれ、ジャングルの中に独立王国を築こうとする。ウィラード大尉(マーティン・シーン)には、彼を殺害するよう指令が下る。最後には、カーツが築き上げたジャングルの中の宮殿が爆破される。
映画は最初に1980年に放映された。ベトナム戦争をふまえており、アメリカにおけるアンチ・ベトナム戦争の雰囲気を投影したことはいうまでもないだろう。最初の放映は、エンターテインメントを目指したショートカット・バージョンであったらしく、コッポラは、編集を継続し、完成版の完成が2000年8月、2001年にアメリカ、2002年に日本で放映されている。そして、皮肉なことにその年の内に「9.11」があり、アフガン侵攻があった。
ビンラディンとブッシュはともに、「カーツ大佐」同然の呵責なき決断を下す。ビンラディンは、容赦ない無差別テロを敢行し、ブッシュはアメリカの唱える民主主義に従わないものには、容赦ない兵力を投入して完膚無きまでに叩こうとする。ベトナムというゲリラとの戦いの中厭戦の世論がたかまっていたが、ソ連の崩壊の後、自信を取り戻し、ベトナムに懲りることなく、アメリカは、ほぼ20年の時間を経て「テロリスト」との非正規戦争に踏み込んだわけである。
邦題は「地獄の黙示録」であるが、原題は「Apocalypus Now」であり、まさに、現在の「黙示録」が描かれているのである。
コポッラの映画「地獄の黙示録」をレビューした本書は、2002年に出版された同タイトルの単行本を文庫化したものである。また、同時に映画「地獄の黙示録<特別完全版>」の完成を期して出版された。
主人公のカーツ大佐(マーロン・ブランド)は米軍の指揮官の一人でありながら、指揮系統をはずれ、ジャングルの中に独立王国を築こうとする。ウィラード大尉(マーティン・シーン)には、彼を殺害するよう指令が下る。最後には、カーツが築き上げたジャングルの中の宮殿が爆破される。
映画は最初に1980年に放映された。ベトナム戦争をふまえており、アメリカにおけるアンチ・ベトナム戦争の雰囲気を投影したことはいうまでもないだろう。最初の放映は、エンターテインメントを目指したショートカット・バージョンであったらしく、コッポラは、編集を継続し、完成版の完成が2000年8月、2001年にアメリカ、2002年に日本で放映されている。そして、皮肉なことにその年の内に「9.11」があり、アフガン侵攻があった。
ビンラディンとブッシュはともに、「カーツ大佐」同然の呵責なき決断を下す。ビンラディンは、容赦ない無差別テロを敢行し、ブッシュはアメリカの唱える民主主義に従わないものには、容赦ない兵力を投入して完膚無きまでに叩こうとする。ベトナムというゲリラとの戦いの中厭戦の世論がたかまっていたが、ソ連の崩壊の後、自信を取り戻し、ベトナムに懲りることなく、アメリカは、ほぼ20年の時間を経て「テロリスト」との非正規戦争に踏み込んだわけである。
邦題は「地獄の黙示録」であるが、原題は「Apocalypus Now」であり、まさに、現在の「黙示録」が描かれているのである。
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