『蒼き狼(新潮文庫・Kindle版)』
井上靖、2014、『蒼き狼(新潮文庫・Kindle版)』、新潮社
おそらく、高校生の頃かに読んだと思うが、ふと読み始めてしまったチンギス・ハーンの生涯を描く本書。チンギス・ハーンは、征服戦争の途上、自身の服装も何も出発からかわらないが、麾下のモンゴル兵たちは、その出先の略奪を通してその姿をかえ、女たちをえる。かれらのアイデンティはどうなったのか、気になった。しかし、歴史の教えるところは、遊牧国家のユーラシア大陸支配は短期間では終わらず、中国の元帝国から、ロシアの黒土平原のキプチャック汗国まで、場所によっては数百年の支配を重ねた。もっとも、モンゴル兵たちは現地化していったので、支配が安定したという意味で、モンゴルのアイデンティティをあえては問う必要もないのだが、モンゴル諸国の連携はどうだったのだろうか。モンゴル高原の部族の盛衰が、そのままユーラシア大陸の遊牧国家の盛衰にスケールアップされたということだったのだろうか。
本書はチンギス・ハーンの一生に当てられているので、上記の疑問に答えるものではないが、「蒼き狼」はモンゴルらしさのシンボルでもあり、チンギス・ハーンおよびその子らのシンボルでもあったので、「蒼き狼」はユーラシア大陸にスケールアップする時その野望はどのようになったのかが気になった。
おそらく、高校生の頃かに読んだと思うが、ふと読み始めてしまったチンギス・ハーンの生涯を描く本書。チンギス・ハーンは、征服戦争の途上、自身の服装も何も出発からかわらないが、麾下のモンゴル兵たちは、その出先の略奪を通してその姿をかえ、女たちをえる。かれらのアイデンティはどうなったのか、気になった。しかし、歴史の教えるところは、遊牧国家のユーラシア大陸支配は短期間では終わらず、中国の元帝国から、ロシアの黒土平原のキプチャック汗国まで、場所によっては数百年の支配を重ねた。もっとも、モンゴル兵たちは現地化していったので、支配が安定したという意味で、モンゴルのアイデンティティをあえては問う必要もないのだが、モンゴル諸国の連携はどうだったのだろうか。モンゴル高原の部族の盛衰が、そのままユーラシア大陸の遊牧国家の盛衰にスケールアップされたということだったのだろうか。
本書はチンギス・ハーンの一生に当てられているので、上記の疑問に答えるものではないが、「蒼き狼」はモンゴルらしさのシンボルでもあり、チンギス・ハーンおよびその子らのシンボルでもあったので、「蒼き狼」はユーラシア大陸にスケールアップする時その野望はどのようになったのかが気になった。
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