『仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか (文春新書)（電子版）』
鵜飼秀徳、2018、『仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか (文春新書)（電子版）』、文藝春秋
明治維新後の廃仏毀釈について全国の状況を調査して明らかにしたものであるが明治政府は、廃仏毀釈ではなく神仏分離を指令したにとどまっていたことを明らかにした上で、激しかった廃仏毀釈の要因を著者は4つの要因に整理している。（1）権力者の忖度、（２）富国策のための寺院利用、（3）熱しやすく冷めやすい日本人の民族性、（4）僧侶の堕落である。（1）は藩政時代の権力者（藩主ら）が、尊王佐幕の渦の中での権力維持のために明治政府の意向を忖度して過剰に実行に移したことを指している。（2）は明治政府の側の都合ではあるが、富国強兵のための金属の供出や学制の施行のための施設供出のために寺院の解体が利用されたことを指している。（3）はわずか数年のうちに熱狂的にこの運動が起き、あっという間に収束してしまったことを指す。（4）同時に、民衆の厳しい寺院への対応は僧侶たちが俗に陥して民衆と乖離したことが廃仏毀釈を増長したことを指している。そして、現在の社会変化の状況についても、人口移動の結果の廃寺ではあるが、第二の廃仏毀釈の時代であるとも指摘している。
人の魂が実際にどこにいくのか、それは置くとしても、魂を（あるいは、魂の象徴を）どこ置いておくのかを思念して祖先との関係をいかに維持するか、これが社会の存続と密接に関連していることを忘れてはなるまい。日本が消滅するかどうかは知ったことではないが、こうしたことが蔑ろにされていくことが、重要な課題なのであろう。
明治維新後の廃仏毀釈について全国の状況を調査して明らかにしたものであるが明治政府は、廃仏毀釈ではなく神仏分離を指令したにとどまっていたことを明らかにした上で、激しかった廃仏毀釈の要因を著者は4つの要因に整理している。（1）権力者の忖度、（２）富国策のための寺院利用、（3）熱しやすく冷めやすい日本人の民族性、（4）僧侶の堕落である。（1）は藩政時代の権力者（藩主ら）が、尊王佐幕の渦の中での権力維持のために明治政府の意向を忖度して過剰に実行に移したことを指している。（2）は明治政府の側の都合ではあるが、富国強兵のための金属の供出や学制の施行のための施設供出のために寺院の解体が利用されたことを指している。（3）はわずか数年のうちに熱狂的にこの運動が起き、あっという間に収束してしまったことを指す。（4）同時に、民衆の厳しい寺院への対応は僧侶たちが俗に陥して民衆と乖離したことが廃仏毀釈を増長したことを指している。そして、現在の社会変化の状況についても、人口移動の結果の廃寺ではあるが、第二の廃仏毀釈の時代であるとも指摘している。
人の魂が実際にどこにいくのか、それは置くとしても、魂を（あるいは、魂の象徴を）どこ置いておくのかを思念して祖先との関係をいかに維持するか、これが社会の存続と密接に関連していることを忘れてはなるまい。日本が消滅するかどうかは知ったことではないが、こうしたことが蔑ろにされていくことが、重要な課題なのであろう。
 | 仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか (文春新書) |
| 鵜飼秀徳 | |
| 文藝春秋 |
おすすめブログ
@goo_blog
