一週間ほど前に読み終えていたが、書き漏らしていた。
モーリシャス島に生息していたドードー(レッドリストでは1662年=寛文2年、絶滅)をめぐる物語。タイトルにある正保四年(1647年)というのは、絶滅寸前の年代で、この年、ドードーが長崎の出島にやってきたというのが本書の「堂々めぐり」の発端となる。ドードーは、ルイス・キャロルことチャールズ・ドドソンの『不思議の国のアリス』(原著1865年)に登場するキャラクターのひとつとして知られる。かれにとってドードーは「ドードー、ドドソン」と吃音の自分の名前の名前に引っ掛けて愛着を持っていたらしい。かれは、もちろん現物を見たわけではなく、ロンドン自然史博物館に展示されている剥製もしくは標本、絵画をみていたようだ。
本書は、出島にやってきたとおもわれるドードーのその後をおって、長崎に関係する大名などの文書にあたり、出島での発掘データ(沢山の動物の骨が発掘されている)、さらには、ヨーロッパの博物館やブンダーカンマーの記録をあたり、モーリシャス島での発掘にも立ち会うといった冒険を続けた記録である。著者はドードーの標本(剥製もしくは骨)が日本のどこかに埋もれている可能性を願っているようだが、どうだろうか。本書は、いわばドードーをめぐるグローバル・ヒストリーの探求となっていて、とてもとても面白かった。