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受けとめる術を身につけて

2011年06月09日 | 読書
 そういえば佐藤正寿先生が先日ブログに書かれていたな、と机上に上げられていた冊子を読んで思いだした。

 http://satomasa5.cocolog-nifty.com/jugyo/2011/06/post-579b.html

 「『保護者は怖い』と身構える先生方へ」と題された小野田正利大阪大学大学院教授の文章である。
 幸せなことに、クレームや苦情などが相次ぐような職場に勤めた記憶はない。この地域全体がそうだろうと予想される。
 しかしまた、問題が皆無だった学校に勤めたこともない。

 「モンスターペアレンツ」という言葉が登場したときは、上手いこと言うもんだなと思った程度で、テレビドラマなんかで取り上げられると、その多くは都会の問題でやや傍観者的な眼差しであったことは否定できない。

 小野田氏の代表的な著書『悲鳴をあげる学校』は、昨夏読んで感想をメモしていた。

 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/1b791e960ba738eb8fe0fdf304f16400

 最終的な心がけしか残せなかったが、今この論考を読み、では具体的にと考えた時に、実に明確な指針が出ていると思う。
 それは、見出しに挙げられた四つに集約される。

 1 保護者アンケートを読み直す
 2 学校の論理と都合を押しつけていないか
 3 「モンスター」という言い方はやめよう
 4 学校だけで解決できない場合もある


 3はともかく、それぞれにキーワードがある。

 1,2を通して、まず大事なことは、「要望として理解すればいい」か「苦情としてうけとめ」るか、その判断である。
 感情的に反応してしまう気持ちは、向き合う場合の姿勢に表れる。

 4では、渦中の親のエネルギーを「分散的に受けとめるシステム」「薄める、あるいは小さくさせていく戦術」がある。
 ここには「誉める」という最大級の技を駆使できるという力量も必要だ。
 そのためには「向き合うべき」「聞き流すだけ」「適切な距離を保つ」という三点で見定めができる経験も必要かもしれない。

 イチャモン、クレーム対応までいかなくとも、今、学校として、問題を抱える保護者への応対は、大きく労力と時間を割かれている現状がある。
 ないことをよしとするのではなく、あって当然のことをどう分類して、どういい方向に向けるかが問われているのである。

 邪魔なものと受けとめるのではなく、「必要だった」「有意義だった」と結果的に思えるような、そんなふうに教師の言動を作っていかなければならない。