すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

お盆に『寝ずの番』

2011年08月13日 | 雑記帳
 五年ほど前に津川雅彦(マキノ雅彦)の初監督作品として、ちょっとだけ話題になった映画だ。

 『寝ずの番』
 http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/nezunoban/

 秋田市での用事が済み、上映時刻にすべり込みセーフで観ることができた。

 放映最終日。小さい観客席にはおよそ10人。いずれも年配者。声高に笑う者はいないが、おそらくは皆ニヤリ、クスリの時間だったろう。

 R15指定も肯ける猥語、下ネタ連発の話であるが、文科省認定になっているだけありしみじみさも感じさせる作品だ。。
 俗気たっぷりでありながら、軽妙、洒脱というイメージも湧いてくるのは、役者のセンスがいいからだろうか。
 これは、やはり十代で観ても無理でしょう…という映画だった。

 さて、私の住む地方では「寝ずの番」は一般的ではないように思うが、それでも故人を偲ぶ宴席は必ずあり、「供養だから」という言葉で皆その人、その場に応じた話題で一定の時間を過ごしている。

 つき合いの長さや深さによって、よみがえる記憶の質、量は違うことは当たり前だが、身近な人々に共通に語られるエピソードがある人は幸せといってよい。

 記憶を持っているみんなの中で、その人は生きているということになる。
 生きることは紛れもなく本人によって価値づけられるが、もし語られる生があるとすれば、その価値も相対できるほど大きいのではないか。

 人は二つの価値を生きている…なんて格好をつけて語ってみたくなる。
 お盆だったら許されるかもしれない。
 いい映画を観た。