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桜と絵本と豆乳と

坦々と乱読を

2011年08月25日 | 読書
 夏休み読書、昨日までのところで15冊。
 物足りない冊数、振り返ってみると脈絡の感じられない選択…実は結構歯ごたえのありそうな本も買ってはいるが、棚上げされていたり、挫折のままだったり…。

 ある意味「乱読」だったなあ、と反省する。
 締めくくりのここ一週間が特にふらついている。そんな4冊を。


 『教室の悪魔』(山脇由貴子 ポプラ社)

 数年前、話題になったとき立ち読みだけで止めた経緯がある。
 今回『風葬の教室』つながりで、改めてきちんと向き合った。
 私は学校職員の立場ではあるが、筆者がよく学校というものの閉鎖的体質を見ていることに感心させられた。
 ありきたりの「いじめ調査」でいったい何がわかるか、考えさせられる。


 『漢字の気持ち』(高橋政巳・伊東ひとみ 新潮文庫)

 刻字家が古代漢字を書に表し、それらの漢字について語源、考察が書かれてある。実に興味深い。『常用字解』を手元に置いている者として、こんな文章を書きたかったなあと思わされる。
 特に心に残るのは、今流行り?の「絆」という字の語義である。そもそも「きずな」だけでなく、「ほだし」という読みがあるそうで、それを知ると、この絆ブーム?はどうかと思ってしまう。


 『人の短編集』(原田宗典 角川書店)

 これは短編ではなく、掌編集と言っていいだろう。就職関係の何か機関誌だろうか、それに掲載されたものがまとめられたと書いてある。
 それにしても、わけのわからない小説群だ。
 共通しているのは、職業についている男性が主人公であることぐらいで、ストーリー(というほどの長さではない。エピソードというべきか)も様々。「世にも奇妙な物語」風のものもあれば、ややハートウォーミング傾向のものもある。結末が唐突で、尻切れ状態に感じることが多く、「いったいなんだ」とつぶやいた編もいくつか。
 まあ、こうした類もあることを知ったくらいが収穫か。一応名の知れた作家なのでファンがいたら御免なさい。


 『脳にいいことだけをやりなさい』(マーシー・シャイモフ 三笠書房)

 ありがちな自己啓発的な書だとは思う。でも時々こうした本を読んで、マイナス思考を払っておかないとどんどん溜まっていく性質の自分としては、いいじゃないかという気分で読んだ
 ここで語られる「幸せ」の概念は、楽しいや嬉しい、充足感などを超えていることは、やはり注目だ。
 以前読んだ仏教者も似たようなことを語っている。つまり心の平安、平然という境地なのだ。境地と呼べなくても「坦々」が大切ということ。んっ、この坦々。どこかで見かけている。


 うん、坦々と乱読を。
 心を乱されない読書を。いや乱されるも一興。坦々と。