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あの笑顔は、度胸だった

2016年07月12日 | 雑記帳
 最近読んだ対談本『安倍政権を笑い倒す』(佐高信×松元ヒロ)の中に、永六輔のことが取り上げられている。

 テレビ草創期の放送作家は、世の中にできるだけ公平に、多様に情報をいきわたらせたいという志を持っていたのではないか、そんなふうに単純だが至極大事な考えが浮かんだ。

 だからこそ、佐高が語るように、あまりマスコミに登場しなくなった最近であっても、しっかりと自らの姿勢を貫いてきたのだと思う。

「テレビにクビにならないように、ということばかり考えているサラリーマン芸人」ばかりはびこるなかで、なかなか受け入れられない人にちゃんと着目して、世に出そうとしてきたのが永六輔という人だよね。」


 松元ヒロは、永に自分の芸を誉められ、照れくさくなってメジャーでないからやれるといった軽口をたたいたとき、厳しくたしなめられたことを語っている。

「ヒロくん、お客さんのせいにしてはいけません。テレビのせいにしてはいけません。それはすべて本人の度胸の問題です。」


 今、テレビ、マスコミに登場する著名人で、そこまでの気概を持って語れる人がいるだろうか。
 昨今の放送作家にしたって、見聞している範囲では、売れている芸人や世相に阿っているような雰囲気ばかりが漂う。

 永六輔は間違いなく、日本の放送や芸能がどうあればよいか本質的に考えた人である。
 選挙とお笑いが同じレベルで流されているような現状を、彼はどう見たのだろうか。



 合掌。