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今さらだが、のキラメキ

2016年07月04日 | 雑記帳
 今さらだが『火花』(又吉直樹)を読む。中古書店で200円がついていた。あの騒動?から約1年。むろん芥川賞作品をどうこう評価する能力はないが、一言口をすべらすと、文学とは面倒だなあということ。その面倒さを突き詰めていく根気強さや、他者との同化と異化を繰り返す自己愛が文学を志す人に必要とわかった。



 小説のモチーフは「漫才」「お笑い」とも言えるか。芸人世界の裏を一瞬垣間見た気になるが、「お」がついただけで途端に厳しくなる「笑い」という概念は、突き詰めれば人の本質に迫る。「同じことで笑える人」は価値観が近いのだろう。お互いに笑い合って暮らせる人が居ればこれほどの幸せはないと、今さらだが思う。



 今さらだが、牧瀬里穂って輝いていたなあと思った。映画デビュー作である「東京上空いらっしゃいませ」がBSで放送されていた。監督は相米慎二。筋は「甦りモノ?」で今一つだった。しかし、牧瀬のはじけるような魅力がよく表現されていた気がする。今の若手女優の輝きとはまた別の硬質的なイメージを持っている。


 映画主題歌は「帰れない二人」。井上陽水・忌野清志郎の共作によるナンバーである。映画ではこの曲が5回流れる。冒頭、女性コーラスのポップな感じで流され、その後になんと四度、歌い手がそれぞれ違う。井上陽水、加藤登紀子、木村充輝(憂歌団)、そして小笠原みゆき(牧瀬の吹き替え)。今さらだが、名曲である。