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『考える人』夏号を読む

2016年07月20日 | 読書
 『考える人』2016夏号

 特集が「谷川俊太郎」だったので期待したが、思ったほどのページ数ではなかった。2篇の書き下ろし詩とポートレート、そしてインタビュー、対談。インタビューはなかなか面白かった。聞き手の着想がいい。改めて思うのは谷川は芸術家というより職人といった方がぴったりだ。出す言葉の質感を表す技が凄い。


 新連載が三つ。「地球の音」と題して細野晴臣が書いている。「苔にあこがれる」という発想に納得する。つまり「自然と一体化した生活」を意味するが、次の何げない一言がいかにも細野らしいと思ってしまった。

 持続可能な世界とか声高にいうけれど、それはかつてあったもの。縄文時代にすでに行われていたこと。



 懐古や単なる自然回帰を推奨しているわけではないが、「シフトチェンジ」は出来ることだと思う。養老孟司の新連載「森の残響を聴く」にも、同じようなことが書かれてあることに、その重みを考えさせられる。

 環境問題や里山の意義について、誰もが「持続可能性」を当たり前のように理解して唱えているのに、一向に実現しないことは不思議です。


 この号は、リニューアル第一弾の前号よりも、個人的に興味をそそられる内容が少なかった。概観してみると、上に挙げたことも含めて「森」「植樹」という記事もあるし、「自然」重視の印象をうける。糸井重里のマンガについての連載や宮沢章夫のシュール風なエッセイは、それなりに楽しめるが、インパクトが弱い。