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静まり返った聴衆

2017年04月15日 | 教育ノート
 聴衆が静まり返る一言…数々の講演、講話を聴いてきたが、そんな経験はあまり多くない。
 データ整理のなかでふと見つけた拙い報告がある。

 学校では年度初めの様々な会が連続して行われ、慌ただしい時期だ。
 PTAなども開かれたことだろう。
 そんなこともふと浮かんだので、紹介したい。




・・・・2005.12 PTA文集掲載「静まりかえった聴衆~全県PTA」


 「子どもはどしどし傷つけるべきだ」

 力強いその一言に、秋田ふるさと村ドーム一杯の聴衆は静まりかえった。
 横手市で開催された今年の全県PTA研究大会。講師は数学者の藤原正彦氏(お茶の水女子大学教授)である。

 藤原氏は国内有数の数学者であるが小学校教育に関する提言、例えば「一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数」という過激な?発言で異彩を放つ論客として有名である。
 その日も講師は刃物のように主張を言い放った。

 「日本は恐るべき『子ども中心主義』に陥っている。歯を喰いしばって我慢する力をもっともっとつけるように…」

 この大会の中では、県教育委員会より英語やコンピュータに関わる行政説明があったのだが、それに真向から正対するような形で次のような発言も続けられた。

 「自分に表現する内容がなくて、何のための英語教育だ」

 「パソコンに戯れていては、パソコンを作る人間にはならない」


 見事に本質をえぐりだしていた。
 あまりにも過激な発言だったので、会終了後に、知り合いの大会事務局にその反応を聞いてみたら「感想を残した人の9割は納得」と言う。
 参加した親や教師にとっては、一種の爽快さと共に深く自省する機会になったか。
 地区音楽祭の日でもあり、当地区からの参加者は唯一私だけ。次の言葉を紹介し報告に換えたい。
 問われているのは、大人の覚悟である。

 「本当に腹の底から持っている価値観を親は徹底的に子どもに押しつけろ。それが踏み台になる。それがないと、子どもは強く踏み出していけない」

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