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桜と絵本と豆乳と

ひとり芸の多様な進化

2019年03月16日 | 雑記帳
 お笑い全般が好きだが、どちらかと言えば「ひとり芸」に興味が強い。落語はさておくと、M-1よりはR-1である。これも結構な回数を数え、その時点での流行り廃りをよく見せてくれる。実はここ数年、決勝を見てると突飛さだけがウケている印象もあったので、つまらなく思えた。しかし今年は見所があった。


 爆笑とまではいかなくとも、ファイナルに出場した芸人たちそれぞれの個性が光ったように感じた。自分が人前に立って喋る機会は明らかに減ったが、こうした芸人の手法には、人を惹きつけるエッセンスがあり、思わず学習モードで観てしまう。客層は若者主体だし、学校の授業などに取り入れる要素は溢れている。


 優勝した「霜降り明星 粗品」は、フリップ芸のテンポの良さが際立つ。ネタの組み合わせの変化が面白い。学校の授業パターンで言うと、超高速のユニット学習に似ているかもしれない。「だーりんず 松本」は準決勝のネタが面白く笑った。「かつら芸」を今までにない見せ方で提示した。かつらの概念を崩し拡げた


 「三浦マイルド」は漢字の例文を広島弁で語る。日常ネタ、暴露ネタを織り交ぜ、教室空間とのギャップを強調する練られた展開だった。「セントライトスパ大須賀」は、いわゆる「あるあるネタ」なのだが、設定を特異な形にし小声で無声音的に語ることを通した。今までにない形にびっくりする。新奇さが際立った。


 個人的に好みの「マツモトクラブ」が予選からの復活で上がってきたのが嬉しい。一人芝居形式で常に工夫がある。今回は、真実を見通す犬とでも称したらいいだろうか。初めと終わりを結ぶ展開、布石が見事だ。お笑いのパターン化、類型化は進んでいるけれど、同時に多様に枝分かれし進化しているように感じた。