すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

感情を分け合っているか

2019年03月31日 | 読書
 教育やカウンセリングの場では、「傾聴」が重視される。
 相手の話を丸ごと理解していく、そのためにあまり口を挟まず、頷きや同意の言葉で、対象者の思いや考えをできるだけたくさん引き出そうという手法だ。
 それは確かに安心につながったり、気づきを呼びおこしたりする。

 そんなことを頭に入れつつ、実際の家庭や職場での会話を想えば、もう一つ違う視点が原則になるのかと考えた。


Volume.156
 「忙しい日々のなかでは、どうしても効率性が優先される事務的な連絡が多くなりがちだ。しかし、人間は指示と応答だけのコミュニケーションには耐えられない。逆に、ささいな会話のなかでも感情をわけあうことを志向できる。」


 購読している雑誌の連載「喚起すること」にドミニク・チェンという方が書いた一節である。

 ポジィティブ心理学という分野で著名なセリグマン博士の講演の中から、次のような箇所を引用していた。
 「相手の話を聞くときには、相手がいままさに語ろうとしている状況をよりよく思い出せるような質問をしなさい

 状況設定によってむろん異なるが、良い事があったことと切り出した相手に「へぇ、よかった」と答えるだけでは「関係性の発展に寄与しない」のだと言う。
 そうではなく「その時にどんな感じがしたか」を問うことにより、相手にその時のことを再体験させることが大切である。
 そして、聞き役である自分も、そのときの感情を追体験できるというのである。

 おそらく聞き上手と周囲から評される方は、その点に長けているのではないか。


 一緒に何気ない会話をしているとき「感情のわけあい」ができること。

 良好なコミュニケーションにするために意識したい姿勢だし、そのための技術も必要だ。